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「ここも可愛いね。パパに触られて悦んでる」 くちゅくちゅと音を立てて中を解す行為。あくまでこの先馨を受け入れさせるための準備に過ぎないというのに、葵はたった二本の指にすら翻弄されている。 もう一本指を増やせば、さらに嬌声は甘さを増した。ちらりと覗き込めば、まだお預けをさせたままの胸は紅く主張しているし、馨が指を突き入れるたびに揺れる箇所からはぽたぽたと蜜が滴っているのが見える。 もちろん、あとでどちらも嫌と言うほど可愛がってやるつもりだ。けれどそれにはまず一度、馨自身の欲を落ち着けなくてはいけない。 「葵、顔を上げなさい。それから、力は抜いて」 ベルトを外す音でいよいよ貫かれると覚悟したのだろう。顔を伏せ、衝撃に耐えるように体を強張らせる葵に気付き、馨は優しく叱りつける。 「そう、いい子だ」 「……ッ、あ、あぁぁっ」 葵がしっかりと窓に向き合ったのを見届けてから、馨は体を進めた。ぐちゃぐちゃに濡れそぼった場所は、強い抵抗は見せず、馨を包み込む。 「気持ちいいね、葵」 奥まできっちり埋め込んだ状態で葵を抱きすくめ、届く範囲に甘いキスを落としていく。こめかみ、頬、耳元、首筋、そしてうなじ。馨の唇が肌に触れるたび、きゅんと反応する蕾は十分な快感を与えてくれるが、もっと淫らに蕩けることを知っている。 葵の中が馨の形に馴染んだのを待ってから、ガラスに突いた葵の手に己の手を絡め重ねて、緩やかに律動を開始する。 「ん……んんッ、あ」 馨が最奥を突くたび、葵の髪が揺れ、その香りでも愉しませてくれる。 何もかも愛らしい葵。全ての愛情を注いで育てた唯一無二の存在だ。これを他に奪われるなど、有り得ない。 葵を抱きながら柾との会話を思い出した馨は、蘇る苛立ちをつい抽挿にぶつけてしまう。 「やっ…あぁぁッ…ん、ん」 急に乱暴になった突き上げに驚いたのか、小さく悲鳴を上げた葵を宥めるようにまた甘ったるい揺さぶりに戻すけれど、頭は切り替えられそうにない。 「葵と結婚するのはパパだからね。他の誰ともさせないよ」 現実に許されることかどうかなど関係ない。親子だとか同性だとか。馨にとっては些細なこと。 元々、葵がまだ少女のような格好が似合う体躯のうちにしたかったことでもある。葵に純白のドレスを着せ、揃いの指輪を嵌め、愛を誓う。そんな遊び。 十六の誕生日に行う予定で準備を進めていたが、どうせならそれを柾に見せつけてやってもいいかもしれない。柾の言う、葵の未来の花嫁候補たちにも。 それこそ、全く現実的ではないけれど。

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