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「愛してるよ、葵」 「───ッ、あぁぁっ」 葵の弱い部分を強く擦るように数度貫けば、高い嬌声と共に華奢な体が痙攣する。そして馨も道連れにするようにきつく搾り上げてきた。だがここで果てるにはまだ早い。 馨は一度ギリギリまで高められたものを抜くと、正面から向き合うように葵の体を抱き上げた。達したばかりでくったりとしながらも、葵からも馨に腕を回してくる。 「やっぱり最初はキスしながらがいいかな」 その宣言通り、熱い吐息を零す葵の唇を塞ぎ、そして彼の体をもう一度犯していく。 「んっ、んっ……」 不安定さを補うように葵の背をガラスに預けさせるが、己の体重が掛かり先ほどよりも深い位置まで馨を飲み込んだのだろう。キスの合間に葵からは少しだけ苦しそうな喘ぎが溢れる。 けれどそれが快楽に繋がる類のものだと分かっているから、馨は構わず突き上げを再開させた。 淡いブロンドの髪は闇夜によく映える。葵を窓に押しつけるように抱きながら、馨はそんなことを思う。今度はバルコニーのある部屋で、葵を抱くのもいいいかもしれない。遮るもののない状態で濃紺の夜空をバックに乱れる姿を想像しただけで、興奮してしまう。 「そろそろ一緒にイこうか」 しばらく葵を揺さぶっていると、馨を締め付ける後孔のひくつきが激しくなってきた。それに気が付き提案すると、こくこくと必死な頷きが返ってくる。どうやら馨が思うよりも絶頂が近いらしい。もちろん、馨も十分に昂っている。 葵の体を抱え直し、より深く唇を重ねて抽挿の激しさを増すと、やがてまだ身につけたままの馨のベストに葵が白濁を飛ばした。その収縮を受けて、馨も葵の中で達する。 こうして体を重ねれば重ねるほど、得られる快楽が増していく気がする。今も共に息を上がらせながら、舌を絡め続けて抱き合っていると、このまま溶けて一つになれてしまえそうなほどの感覚に溺れるのだ。他の誰を抱いてもこうはならない。 馨の肩にしがみつき荒い呼吸を繰り返す葵を運ぶ先は湯気の立ち込めるバスルーム。かろうじて腕に引っ掛かっていたブラウスを剥ぎ、靴下とローファーも脱がせて、自身も全ての衣服を脱ぎ去る。 汗と体液で汚れた体を清める作業自体は手早く済ませた。葵はシャワーの飛沫にさえ反応して身を捩ったが、そこで悪戯を仕掛けるといつまでも湯船に浸かれない。 窓辺での遊びが思いの外長くなったせいで、さすがに少し湯はぬるくなっていたが、火照った体にはちょうどいい。お決まりの入浴剤を注いで白く濁る湯に、葵を連れて沈む込む。

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