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葵はそうしてしばらくは大人しく彰吾からのキスも悪戯も受け続けていたが、ツンと立ち上がった場所を弾くのではなく、ぐりぐりと押し潰すような動きに変えると、初めて彰吾の手を掴んで止めてきた。 「なに、この手」 抵抗は許さない。そうして睨みつけると、葵は目に涙をいっぱい溜めてフルフルと首を振ってくる。 「……ぬぎ、たいです」 さっきまであれほど青白かった頬を上気させ、恥ずかしそうに訴えられた内容はさらに彰吾を煽ってくる。 「ん?あぁ、もしかしてイキそう?これで?」 「あぁッ、ん……んーッ」 たったこれだけで。確認するため、一度優しく摘み上げたそこをぎゅっと肌に埋め込むように押さえ、そして揺らしてやると、葵は必死に彰吾の腕にしがみついてきた。涙が頬を伝い、枕に染みを作り出している。 本当に左胸への愛撫だけで達してしまいそうらしい。 「わかった、汚さないようにしてやるから」 葵の希望通り脱がしてやってもいいが、いつあの保健医が帰ってくるとも分からない。それに、彰吾自身、葵を抜いてやるだけで済まなくなる。 だから布団の中でベルトを緩め、下着の中に手を侵入させた。つるりとした肌も父親の趣味なのだろう。 「その代わり、ちゃんと綺麗にしろよ」 泣きながら頷く葵を今すぐ犯せたらどんなにいいだろう。 「んぅ…んッ、んッ」 再び唇を重ねながら、もうとろとろと先走りを溢れさせるそこを扱いてやる。子供のような色をしたそこは布に隠れて今は見ることが叶わないが、絶頂が近いことぐらい感触で分かった。 腕を握っていた葵は、いつのまにか彰吾の肩に手を回し抱きついてきた。前回触れた時に感じたが、葵はおそらく手淫にはあまり慣れていないようだ。だからこうして何かに掴まっていないと、強すぎる刺激に耐えられないのだろう。 せっかくならこのまま焦らし、泣きじゃくるまで強く苛めてやりたくなるが、さすがにその遊びは別の機会にしたほうがいい。 葵の体が小刻みに震え出したことに気付き、幹を扱くだけでなく先端を指でくすぐってやると、葵はあっけなく精を放った。 約束通りそれを手の平で受け止めてやり下着から手を抜いた彰吾は、そのまま葵の口元に運ぶ。 休みの間中余程可愛がられたのか、彰吾の手についた白濁は量も極端に少ないし、色も薄い。 「ほら、綺麗にすんだろ?」 舐めやすいように差し出せば、葵はまた涙を溢れさせながらも舌を這わせてきた。口淫すら経験のなかった葵の舌遣いはやはり稚拙だ。本当にただ自分の吐き出したものを拭うだけの作業でしかない。 けれど、彰吾の目にはどうしようもなく淫靡に映る。 今までこうして相手だけを導いてやることなど一度もなかった。目的が自分の欲望を解放するため、だからだ。それなのにどうして今、葵に戯れのように触れ、そして彼だけを気持ち良くさせてやったのか。 間もなく試験が始まるからとか、ここがいつあの保健医が帰ってくるかわからない場所だからとか。そんなことは言い訳にならない。

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