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第4話
ヤバいな、さっきからニヤニヤが止まらない。
本当にここは異世界なのか?どっきりとかじゃないよな?どっかにカメラとか仕掛人とかが居るとか?
そう思って俺は周りを見回してみるけどそんなのは見当たらない。
ってことはやっぱりここは異世界なんだ。
そう思ったら、俺のテンションは更に上がった。
「おい!ここは何処なんだよ!」
俺が喜びに浸ってると、そう叫び声が聞こえてくる。
そう叫ぶのは、俺と一緒に召喚されたやんちゃっぽい人。
金に近い茶髪でピアスとかしてる。
この人とはあまり気が合いそうにないな。
そしてもう一人。
いまだに状況が理解出来てないのか、まだポカンとしてる。
俺はその人に視線を移す。
芸能人だって言われたら信じちゃうくらいキレイな顔立ちの人……多分、この人勇者だ。
直感だけど、そう思った。
もう一人のやんちゃっぽい人は剣士とかのアタッカーっぽいな。
俺は何なんだろう。魔法使いとかだったら嬉しいのにな。
そんな事を考えてると、お姫様っぽい人と目が合った。
目が合った瞬間、その人はニコッと笑う。
俺は何故その人が笑ったのか分からなくて首を傾げた。
「私はこのアルザイル王国の第一王女、フレデリア・アルザイルと申します。あなた方には、これより陛下に会っていただきます」
『着いてきてください』と言ってフレデリアと名乗る人が先頭を切って歩く。
俺たちはその人の侍女だろう人の案内で王様の元に向かった。
俺たちの召喚に立ち合ったって事はそれなりの立場の人だろうとは思ってたけど、まさか王女様だったとは……
もしかしてこの王女様が俺たちを呼んだのかな?
そんな事を考えながら歩いていると、少し遠くの方に街並みが見えた。
うわぁ!異世界の街だ!
日本とは違う風景に、俺は感動を覚えた。
やっぱり色んな種族の人が住んでるのかな?見てみたいなぁ。落ち着いたら見に行けるかな?
「……君はいやに落ち着いてるね」
外の風景に目を奪われていると、そう話しかけてきたのは芸能人っぽい人。
その人はまだ状況が掴めてないみたいで表情は固く、不安そうにしていた。
それが普通の反応だよね。実際、まだ何の説明もされてないんだから。
突然こんな訳の分からない所に連れてこられて不安になるのも当然だ。
まぁ俺みたいに既に状況把握してるのも正直どうかと思うけど……
でも問題はここからなんだよね。
勇者召喚でこういう展開は結構当たり前。
問題は王様だ。
異世界系に出てくる王様は大きく分けて二種類。
一つは本当に困ってて、最後の手段として勇者を召喚する王様。
こういう王様の場合は勇者を尊重して話をちゃんと聞いてくれる。
もう一つは、勇者をただの駒としか見ない王様。
その場合、勇者を囲おうと色んな手段に出る。
こういう王様は召喚した勇者が最悪死のうが我関せずが多い。
ここの王様はどっちなんだろう?
後者だったらかなり面倒だな………
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