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第9話

兵士に捕らえられた俺は、薄暗い地下牢に入れられた。 でもそれも計画の内だった。むしろ隔離された方が俺には好都合だ。 俺は少し牢の外を伺う。 牢の前には見張りは居ない。見張りがいるのは地下に下りる入り口だけか。 それが分かると俺は口元が緩んだ。 それじゃ、始めますか。 【ステータスオープン】 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー フタバ・カザシロ Lv50 17歳 職業 賢者 保有魔法 火魔法 Lv10 風魔法 Lv10 水魔法 Lv10 雷魔法 Lv10 土魔法 Lv10 光魔法 Lv10 闇魔法 Lv10 無魔法 Lv10 保有スキル 無限収納 魔法耐性 状態:普通 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 俺はステータスを開く。 開いたステータスを見るとまたニヤニヤしてしまう。 って、ニヤけてる場合じゃないって! ハッとして自分の頬を軽く叩く。 俺は気を取り直して、もう一度ステータスを見た。 俺は賢者だから魔法が使える。 使える属性は『火』『風』『水』『雷』『土』『光』『闇』『無』の8種。 もしかしてこれ、全属性なのか?魔法はどんな風に使えるんだろう。 一般的には火魔法だったら『ファイヤーボール』とかだけど、詠唱とかは必要ないよな。あれは流石に恥ずかしい。 俺はしばらく魔法の使い方に悩んだ。 うーん、物は試しで使ってみるか…… ここでは強い魔法は使えないから、弱いやつで。………例えば、ライターの火みたいな。 そう思って俺はライターの火を思い浮かべた。そうすると、目の前にポッと火が出た。 「っ!」 本当に出た!小さい火だけど俺、今確実に魔法使ったんだよな!?夢じゃないよな!? 俺は夢にまで見た魔法にテンションは最高潮だった。 次は火を大きくしてみよう。 そう思って俺は今度はガスバーナーを思い浮かべてその小さな火に魔力を注いだ。 魔力の注ぎ方は何となく分かる。自分の中にある魔力の流れを意識して、それを手に集める。手に集めた魔力を外に放出するイメージ。大抵の異世界系のものはそうやって魔法を使う。 俺もそれをイメージしてやってみた。 魔力を外に放出するイメージでゆっくり。 そうすると、小さかった火が大きくなった。 出来た!!初めてで出来るって俺すごくないか!? 魔法で出した火を見ていて、ふと思い付いた。 …………もしかして、あれも出来るんじゃないか? ー全てを焼き尽くす地獄の炎ー ……………って、まんま厨二じゃないか。 俺は我に返って自分がニヤけてる事に気付くと、急に恥ずかしくなった。 いやでも、異世界マニアとしては当然やりたくなるよな!?……うん、大丈夫。俺は間違ってない。 という事でやってみた。 『地獄の炎』 実物は当然知らないけど、イメージはある。 触れたものを一瞬で焼き尽くす黒い炎。 俺は明確にそれをイメージする。 ゆっくりと魔力を放出して形を創る。 ………もっと。………もっと。 そうすると、赤い火が真っ黒な火に変わった。

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