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第12話
俺は城下町に着くと、裏路地で夜を明かした。
当然だけど、あまり眠れなかったな。
そんな事を考えながらグ~と伸びをするとポキポキと骨が鳴る。多分無理な体勢で居たから体が固まってたんだろう。
とりあえず人に場所を聞かなきゃな。
そう思って俺は少し街を歩いた。街の人が店とかの準備を始めている。
街の建物はファンシーなものから、よく分からない怪しいものまで色々だ。日本とはかなり雰囲気が違っている。まだ人以外の種族には会ってないけど、これだけでも十分異世界を感じられた。
俺は着けてた腕時計をチラッと見る。腕時計の時間は6時過ぎを指してるけど、この世界の時間は分からない。でも街の人たちが活動し始めてるから、大して誤差が無いのかもしれない。
俺は街並みを見ながら、話せそうな人を探した。しばらく歩いてると、店の前で何か準備しているおばさんを見つけた。
「すいません。冒険者ギルドってどこにあるんですか?」
そう俺が向かおうとしてるのは、異世界では切っても切れないもの!!
まずはそこに行かなきゃ話が始まらない異世界の要、冒険者ギルドだ!
「お兄さんもしかして冒険者になりたいのかい?」
そう言っておばさんは俺をじろじろと見てくる。
ん?もしかして俺、怪しまれてる?
そりゃそうだよな。格好とかも冒険者には見えないだろうし。
「ならこの国での登録は止めときな」
そんな事を考えていると、おばさんがそう言う。
「何かあるんですか?」
そう聞くと、おばさんがちょいちょいと手招きする。俺はそれに従った。
「ここだけの話。この国で登録するには、かなりのお金が必要なんだよ」
とおばさんはコソコソと耳打ちしてくる。
「かなりのって……そんなに掛かるものなんですか?」
ギルドに登録するには登録料が掛かるのは一般的だけど、高いイメージはなかった。
「この国だけだよ。他の国はそうでもないらしい。おまけにこの国は入国税も出国税も高いから人が全く来ないんだよ」
とおばさんは困ったように言う。
「魔族のせいで流通が止まってて貧困になってるって小耳に挟んだんですけど、違うんですか?」
「魔族が出たって話は聞かないよ。この国が貧困になってるてんなら、原因は間違いなく国王だよ」
………やっぱり、昨日の話は嘘だったんだ。
本当最悪だな、あの国王。
「まぁ、それでも冒険者になりたいってんなら、あそこの一際大きい建物が冒険者ギルドだよ」
そう言っておばさんはその建物を指差す。
「ありがとうございます。とりあえず行ってみます」
そう言って俺はおばさんと別れた。
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