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第14話

「お待たせしました」 俺がギルド内を見て回ってると、お姉さんが食事を持って戻ってきた。 「あ、ありがとうございます」 そう言って席に戻る。 「何か珍しい物でもありましたか?」 お姉さんは運んできた食事をテーブルに並べながら聞いてくる。 「珍しいというか、ずっと来てみたいと思ってたんです」 「ギルドは初めてでしたか?」 「えっと、来る機会がなくて……」 日本にはギルドなんて無いからな。 ここは異世界じゃないと来れない場所だから 「そうでしたか。あ、申し遅れました。私はここで受付を担当してますレミィと言います」 「あ、俺はフタバです」 『よろしくお願いします』と言うとレミィさんはニコッと笑った。 「あ、どうぞ召し上がってください」 そう言ってテーブルに並べられた食事を薦められる。 「ありがとうございます」 テーブルに並んでるのは、スープとパンと肉を焼いたもの。 シンプルだけど初めての異世界料理ってことで心が踊った。 「いただきます」 俺は手を合わせてそう言うと、レミィさんに不思議そうな顔をされた。 「なんですか、それは?」 「え?」 「その『いただきます』って言うのです」 あ、そうか。この世界にはこういう挨拶はないのか。 「これは俺の故郷の食べる前の挨拶です」 「そうなんですね。あ、どうぞ冷める前に召し上がってください」 そう言われて俺はまずスープに口をつけた。 「……おいしい」 「それは良かったです」 そう言ってレミィさんはニコッと笑う。 スープは薄味に見えて旨味が詰まってる。パンは少し硬いけど、すごくおいしい。肉は焼いてるのにすごく柔らかい。なんの肉かは聞かないでおこう。 「ところで、フタバさんは今日はどのようなご用件で来たんですか?」 そうレミィさんが聞いてくる。 「少し話を聞きたくて……」

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