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第15話

「今日来られたのは、ただギルドを見るためだけではないですよね?」 レミィさんは確信を持ってそう聞いてくる。 流石、色んな冒険者を相手にしてるだけはあるな。目的を聞き出すだけじゃなくて、ちゃんと警戒もしてるみたいだ。 「少し話を聞きたくて来たんです」 「……話?」 「あ、冒険者ギルドに来てみたかったってのは本当ですよ!?」 少し慌て気味に言うと、レミィさんはクスクスと笑った。 「分かりました。どんな話をご所望ですか?」 そう言って笑うレミィさんに、俺はホッと息を吐いた。 「……ところで、他の人たちはまだ来ないんですか?」 俺が来てから結構時間が経ってるけど、まだレミィさん以外の人を見ていない。 そう言うと、レミィさんは困ったように笑った。 「……今は私だけです。前は沢山人が居たんですけど、ここではやっていけないって皆出ていってしまったんです」 「何かあったんですか?」 「この国は他の国に比べて、物価はもちろん他に掛かる金額も高いんです。それに比べて収入が低い」 「……それって生活に必要な収支が見合ってないってこと?」 そう聞くとレミィさんは頷いた。 レミィさんの話では、前はそんな事なかったらしい。今の国王に代替わりしてからこの国は変わってしまった。 税が高くなり、物価が高くなり。それとは逆に収入が少なくなった。冒険者も魔物の素材を売っても2/3は国に持ってかれるらしい。 あの国王の部屋の装飾品はそうやって集めた金で買ってたんだな。 「ギルドの登録料も高くなって、この国では冒険者が減ってしまって。かといって、出国税も高いからこの国から出られなくて、結局みんな冒険者を諦めてしまうんです」 「え、でも冒険者ライセンスがあれば出国税も入国税も免除なんじゃ?」 色々なところを旅する冒険者はそういう手間を無くすためにライセンスを持ってれば税は免除される。それが異世界系の決まりだ。 「そうなんですけど、ここの登録料が金貨一枚なんです」 「……金貨一枚?」 っていくらだ!?この世界のお金の価値が分からない。 「………あの、すいません。お金のこと教えて貰っていいですか?」 そう聞くとレミィさんは驚いた顔をした。 そりゃそうだよな。お金の価値が分からないって、普通あり得ないよな。 レミィさんは何か聞きたそうだったけど、そこは察してくれた。 俺はレミィさんのお金の価値を教えてもらう。 えっと、レミィさんの話では…… 銅貨10枚=銀貨1枚 銀貨10枚=金貨1枚 金貨10枚=大金貨1枚 大金貨10枚=白金貨1枚 レミィさんに聞くと、一番安いジュースが銅貨1枚らしい。 ってことは銅貨1枚でだいたい100円くらいか。良かった、俺の知識とあまり誤差が無いな。 ………ってことは、この国のギルドの登録料1万円!?高っ!!高過ぎでしょ!? 「他の国では登録料は銅貨5枚なんです」 「え!?ギルドの登録料って一律じゃないの!?」 「本来はそうなんですけど、ここにギルドを置く為の場所代だと……」 お金を取って、差額を手元に入れてるのか。 「……なんで国王に抗議しないんですか?」 「しようにも、少しでも口答えすると不敬罪ですぐに捕まってしまうんです」 不敬罪ってあれか。上流階級の人に少しでも失礼なことをすると捕まるってやつか。あれも正直どうかと思う。 「こんなときにレイス殿下が居てくれたら、少しは違ったのに……」 レミィさんがボソッと呟く。 「レイス殿下?」 「この国の第一王子です。心お優しい方で我ら国民に対してもよくしていただきました」 ……過去形ってことは、もう居ないのか。

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