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第16話
レミィさんの話で色々分かった。やっぱり勇者を断って正解だったな。
「フタバさんはこの後はどうするつもりですか?」
「どうするって?」
「フタバさんは冒険者になるおつもりでしょ?他の国に行くんですか?」
「そのつもりですよ」
「ですがその格好では………」
とレミィさんは俺をじっと見る。そうすると『ちょっと待っててください』と言って奥に入っていってしまった。
格好かぁ、そういえば召喚されてそのままだったな。装備も武器もないし、やっぱりどっかで調達しなきゃだよなぁ。かといってお金ないし、どうしようなぁ。
そんな事を考えていると、レミィさんが戻ってきた。
「フタバさん、良かったらこれをお使いください。」
そう言って渡されたのは黒いローブ。
「これは?」
「魔術が付与されたローブです。気休めではありますがフタバさんを守ってくれると思います。」
魔術が付与されたローブなんて、そうそう手に入る物じゃないし、嬉しいんだけど……
「そんな、貰えませんそんな良い物」
「いえ、使ってください。ここでは誰も使わないので、フタバさんに使っていただいた方が良いです」
……ん~、これは引き下がりそうもないな。
「分かりました。有り難く使わせていただいます」
そう言ってレミィさんからローブを受けとると、俺はそれを羽織った。
そのローブは黒い布地に袖と襟と裾に金の刺繍が施されていてすごくキレイだ。
ヤバいな、異世界でこういうアイテムってすごいテンション上がる。
「これって何の魔法が付与されてるんですか?」
「防御と魔法耐性です」
二重付与か。って言っても俺自身魔法耐性スキル持ってるから、効果は防御だけだな。
用を終えた俺はギルドを出て、国境に向かうことをレミィさんに告げた。
「色々とありがとうございました」
「いえ、気を付けて下さいね」
そう言ってレミィさんはニコッと笑って手を組んだ。
「フタバさんにアステアの神のご加護がありますように」
とお祈りをするように言う。多分この世界での送りの挨拶なんだろう。
「行ってきます」
最悪な召喚だと思ってたけど、こんな出会いも悪くないな。
そう思って、俺はもう一度ギルドを見た。
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