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第17話
ギルドを出て国境付近まで行くと、入り口には警備の人たちがいる。警備の人たちは逐一通る人たちをチェックしてるみたいだ。
やっぱり出てく人も入ってくる人も少ないな。国境まで来たはいいけど、どうするかな……
お金が無いから通行料は払えない。出るにはあの壁を乗り越えるしかないな。乗り越えるのは『飛翔』を使えば何とかなるけど、国境だから城とは違って警備も厳重だ。多分魔法壁あるよな。となると、飛翔を使いつつ魔法壁を壊す必要があるか。
………ていうか、俺って二つ以上の魔法を同時に使えるのか?しまったな、そこまでは試してなかった。
俺は考えた末、まぁ何とかなるかと思って取り合えず夜になるのを待った。
夜の国境は光魔法や魔道具によってかなり明るかった。
うーん、流石に正面からは無理だな。見た感じ、警備兵は20人くらいか……
壁の上に居るのは魔術師だな。ローブ着てるから分かりやすい。……ってことは確実に魔法壁あるよな。こういう時、鑑定スキルがあれは楽なんだけどなぁ。
そう思って、俺は小さくため息をついた。
取り合えず、今はここを越えることが先決だな。あまり兵士たちと戦いたく無いんだけど……
魔術師の攻撃は魔法耐性があるから大丈夫………
って………ああぁあぁぁーーーっ!!!!
そうじゃん!俺、魔法耐性持ってるじゃん!!
うわぁ、何で忘れてたんだろう。俺に魔法壁なんて無意味じゃん!!
そう思って俺は顔を押さえた。
………いやでも仕方なくない!?いくら知識があったって、俺ただの高校生だよ!?普通こんなことになるなんて思わないじゃん!?
………俺も何気にテンパってたのかな。
そう思ったら、渇いた笑いが漏れた
ハァ~と大きくため息をつく。目を閉じて気持ちが落ち着くのを待った。
しばらく経つと、ようやく落ち着いてきた。
……うん、もう大丈夫。
俺はもう一度国境の様子を見た。兵士と魔術師を確認する。
魔術師が居るのは上だけか……。下には兵士だけだな。でも油断は出来ない、国境の警備を任されているってことはなかりのレベルだろうな。本当、鑑定スキル欲しいな。今度スキル収得の方法を探してみようかな。
その為には、まずはここから出なきゃな。
そう思いながら手に魔力を籠める。
雷魔法 【飛雷】
魔法を放つと、雷が無数の蝶の形になって国境の入り口に飛んでいった。
この魔法は攻撃じゃなくて、注意を引くためにエフェクト重視で考えた魔法だ。相手の注意を引いて、その間に俺が逃げれるように。
『雷』の他にも『火』『光』『水』の属性で使うことが出来る。エフェクト重視だけど、『雷』と『火』は少しだけ攻撃力がある。今回『雷』を選んだのは相手の動きを止めたかったからだ。『火』の場合、触れると火傷をするけど動きを止めることは出来ない。でも『雷』だと触れれば痺れて動けなくなる。まぁこれも籠める魔力によって威力が変わるんだけど。
俺はローブのフードをかぶって、しばらく様子をみた。
入り口に居た兵士たちが飛雷に集まってくる。これで全員集まってくれれば楽なんだけど、そこら辺はさすがプロ。数人は持ち場を離れずに警戒するだけだった。魔術師たちは動きすらしない。
兵士より魔術師の方に集まって欲しかったんだけどなぁ。
そんな事を考えていると、入り口の方から何か悲鳴みたいな声が聞こえてくる。どうやら兵士たちが飛雷に触れてしまったみたいだ。
飛雷に触れた兵士たちが次々に倒れていく。
あ~あ~、触らなきゃ良いのに………
でも得体の知れないものって、何故か触りたくなるよね。その気持ち、すっごくよく分かる。
そう思って、俺は一人でうんうんと頷きながら納得していた。
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