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第19話
何とか逃げ切れた俺は『飛翔』を使って反対側に下りる。その後すぐに『暗幕』を使って姿を隠した。
すぐ追っ手が来るかな?早くここから離れた方がいいな。
国境の外は草原になっていた。
そんな開けたところで見つかったら狙い打ちだな。
そう思って、俺は少し離れた場所に見える森に行くことにした。
どれくらい歩いたのか、俺は歩き疲れてその場に座り込んでしまった。
つ、疲れた………。魔法が使えるようになって出来る気でいたけど、俺インドアなの忘れてた。普段あまり動かないのに、いきなりこんなに動くのはキツい。
……でもこんなとこで休んでられない。取り敢えず何とかあの森まで辿り着かなきゃ。
そう思って俺は、何とか力を振り絞って森に向かった。
何とか森に着いた俺は、少し入ったところに運良く横穴を見つけた。
……この奥なら休めるかな?
そう思って俺は横穴に入った。
そういえば、こういう時って高確率で魔物が出てくるんだよね。
……ってフラグ立ててどうする!?
そんな事を考えていると、奥の方から何か獣の唸り声が聞こえてきた。のしのしと足音が聞こえてくる。
ほら、やっぱり!!……確かに魔物は見てみたいと思った。思ってたけど、求めてたのはこれじゃない!
普通、初めて会う魔物ってウサギとかリスとかの小さいのじゃないの!?
今俺の前には、大型のトラの魔物が居た。俺を見つけた魔物はゆっくりと動きながら臨戦体勢を取る。
俺は足がすくんで動けなかった。
どうする?今の俺にこんな大きい魔物を倒す気力は残ってない。
そんな事を考えていると、トラの魔物が飛び掛かってきた。もう駄目だと思ったとき、何かに勢い良く引っ張られた。
引っ張られた俺は、バランスを崩して倒れ込む。何が起きたのか分からなかった。誰かが居て、その人はあっという間に魔物を倒した。
……誰?
その人は俺に駆け寄ってきて何か言う。でも何を言ってるのかは分からなかった
段々目の前が暗くなって、俺の意識はそこで途切れた。
ハッと目を開けて、俺は飛び起きる。
え、俺……?
確か魔物に襲われて………??
状況が分からなくて、俺は軽くパニックなった。
周りの見てみると、どうやら洞窟の中みたいだ。外からは光が射し込んでて夜が明けてることに気付く。
俺、どうなったんだ?
そう思って俺は自分自身を見ると、何か布が掛けられてるのに気付いた。俺はその布を良く見た。
………これって、マント?でも誰の?
「良かった、目が覚めたんだね」
突然そう声がして、見ると朱色の髪と翡翠色の瞳の男の人が立っていた。
優しく微笑むその人のキレイな髪と目に、俺は思わず見惚れてしまった。
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