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第20話
「……大丈夫?」
俺がボーっとしていると、その人が覗き込んでくる。俺はびっくりして思わず後退ってしまった。
「あ、すいません。……えと、俺を助けてくれましたよね?」
意識を失う前に誰か居た気がする。多分この人だ。
「君がここに入ってくのが見えたからね。ここはキラータイガーの巣なんだよ」
そう言ってその人は奥を指差した。そこには魔物の死体が横たわってた。
………俺、あれに襲われたのか?昨日は暗くてよく分からなかったけどあの魔物、普通に象くらいの大きさあるんだけど。……ん?でも……あれ?
「…あの……俺の姿、見えてたんですか?」
確か俺、あの時『暗幕』使ってたと思うんだけど……
そう聞くと、その人は首を傾げる。
「見えてたけど?」
それを聞いて、俺は頭を抱えた。
マジか!?暗幕消えてるの全然気づかなかった。
……え!?いつから!?
そんな事を考えていると、顔に掛かってた前髪がスッと避けられた。
見ると、その人が心配そうな顔で覗き込んでた。
「どうした、頭痛いのか?」
「……いや」
「まだ顔色が悪いな。もう少し休んでた方がいい」
『何か食べる物獲ってくるよ』と言ってその人は出ていってしまった。
一人になると体の力が抜けて、俺はその場に倒れ込んだ。
びっくりしたぁ。さっきの何!?あの人すごい距離近いんだけど!
………そういえばあの人、名前なんていうんだろう。聞きそびれちゃったな。
そう思って、俺はため息をついた。
疲れたな。こんなに動いたのいつぐらいぶりだろう。………そういえばステータスどうなってんのかな。
そう思って、俺はステータスを開いた。
【ステータスオープン】
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フタバ・カザシロ Lv52
年齢 17歳
職業 賢者
保有魔法
火魔法 Lv10 風魔法 Lv12 水魔法 Lv10
雷魔法 Lv12 土魔法 Lv10 光魔法 Lv10
闇魔法 Lv11 無魔法 Lv10
保有スキル
無限収納
魔法耐性
状態:過労
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……あ、レベルが上がってる。魔法も『風』と『雷』と『闇』が上がってる。色々と使ったからな。
それにしても過労って………
まさかこの歳で過労を経験するとは思わなかったな。
そう思ったら、渇いた笑いが漏れた。
……勢い良く出てきたは良いけど、これからどうしよう。
そう思って俺は、またため息をついた。
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