20 / 269

第20話

「……大丈夫?」 俺がボーっとしていると、その人が覗き込んでくる。俺はびっくりして思わず後退ってしまった。 「あ、すいません。……えと、俺を助けてくれましたよね?」 意識を失う前に誰か居た気がする。多分この人だ。 「君がここに入ってくのが見えたからね。ここはキラータイガーの巣なんだよ」 そう言ってその人は奥を指差した。そこには魔物の死体が横たわってた。 ………俺、あれに襲われたのか?昨日は暗くてよく分からなかったけどあの魔物、普通に象くらいの大きさあるんだけど。……ん?でも……あれ? 「…あの……俺の姿、見えてたんですか?」 確か俺、あの時『暗幕』使ってたと思うんだけど…… そう聞くと、その人は首を傾げる。 「見えてたけど?」 それを聞いて、俺は頭を抱えた。 マジか!?暗幕消えてるの全然気づかなかった。 ……え!?いつから!? そんな事を考えていると、顔に掛かってた前髪がスッと避けられた。 見ると、その人が心配そうな顔で覗き込んでた。 「どうした、頭痛いのか?」 「……いや」 「まだ顔色が悪いな。もう少し休んでた方がいい」 『何か食べる物獲ってくるよ』と言ってその人は出ていってしまった。 一人になると体の力が抜けて、俺はその場に倒れ込んだ。 びっくりしたぁ。さっきの何!?あの人すごい距離近いんだけど! ………そういえばあの人、名前なんていうんだろう。聞きそびれちゃったな。 そう思って、俺はため息をついた。 疲れたな。こんなに動いたのいつぐらいぶりだろう。………そういえばステータスどうなってんのかな。 そう思って、俺はステータスを開いた。 【ステータスオープン】 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー フタバ・カザシロ Lv52 年齢 17歳 職業 賢者 保有魔法 火魔法 Lv10 風魔法 Lv12 水魔法 Lv10 雷魔法 Lv12 土魔法 Lv10 光魔法 Lv10 闇魔法 Lv11 無魔法 Lv10 保有スキル 無限収納 魔法耐性 状態:過労 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ……あ、レベルが上がってる。魔法も『風』と『雷』と『闇』が上がってる。色々と使ったからな。 それにしても過労って……… まさかこの歳で過労を経験するとは思わなかったな。 そう思ったら、渇いた笑いが漏れた。 ……勢い良く出てきたは良いけど、これからどうしよう。 そう思って俺は、またため息をついた。

ともだちにシェアしよう!