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第25話
(レイスside)
少年が起きる前に採ってきたキノコでスープを作った。他にも何かあった方が良いのかもしれないけど、少年が食べられるかどうかが分からなかった。
スープを作り終えて日も結構傾いてきたからそろそろ起きてるかと思って俺は少年の様子を見に行った。中を覗くと少年が起きていて、腕をグルグル回したりしてるから何をしてるんだろうと思った。
俺は少年に声を掛けてもう一度顔色を見ると、少年は慌てて離れてしまった。何かいけない事でもしたんだろうかと思ったけど、慌てる少年が面白くて思わず笑ってしまった。
スープを食べるか聞いたら頷いたから一緒に外に行こうとすると少年がふらついて倒れそうになった。俺は咄嗟に少年を支えた。
やっぱり驚くほど軽いな。普段ちゃんと食べてるんだろうか。
少年を焚き火の側に座らせると、作っておいたスープを渡した。少年はそのスープに恐る恐る口を着ける。一口飲むと、少年は『おいしい』と言って顔を綻ばせた。
俺は口に合って良かったとホッと息を吐いた。
起きている少年は、ころころと表情が変わって面白い。それに冒険者に興味があるみたいだった。
その少年は『フタバ』と名乗った。
フタバは冒険者に多大な憧れを持ってるみたいだった。ただフタバが住んでた所には冒険者が居なかったらしい。それも不思議だった。冒険者は世界各地、どこにでも居る。今まで冒険者に会ったことが無いなんて、そんな人が存在するのか。
フタバは謎だらけだ。冒険者を見たことが無いっていうのもそうだけど、服装も見たことが無い服を着ていたり、髪と瞳の色も珍しい。それにフタバが着ていたローブ。あれは魔法付与された一級品だ。
「フタバ、そのローブはどこで?」
「え?あ…これは冒険者ギルドで貰って」
「冒険者でもないのに、ギルドで貰ったのか?」
「………えと、それは……」
そこまで聞くと、フタバは口ごもってしまう。
やっぱりフタバには何かあるのか?
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