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第26話
レイスさんにローブの事を聞かれて、正直焦った。
やっぱり冒険者でも無い俺がギルドで魔法付与されたローブを貰うっておかしいよな。
「……登録はしてないけど、受付のお姉さんが使ってくれって……」
「それって、もしかしてアルザイル支部の?」
そう言われて、俺はどうして分かったのかと思いつつ頷いた。
多分こういうことはあまり隠さない方が良い、そう思った。
「じゃあフタバはアルザイルから来たのか?」
そう聞かれて、俺はもう一度頷く。
「よく国境通れたな」
そう言われて、俺はレイスさんを見れなかった。
「…………国境は……通ってない」
「はぁ!?」
「いや、通ったけど………正規では通ってない」
そう言うと、レイスさんは呆れ顔になる。
「………君は、何仕出かしたんだ?」
そう聞かれて、俺は困った。
これはどこまで話して良いんだろう。当然俺が召喚勇者だってことは黙ってた方が良いと思う。でもそれを黙ってると上手く説明が出来ない。
そんな事を考えているとレイスさんがため息をついた。
「まぁいい。君が訳ありってのは分かった。で?フタバはこれからどうするつもりだ?」
そう言われて、俺は首を傾げた。
「どうするって?」
「他の国に行くのか?」
「そのつもりです。一番近い国に行って、冒険者ギルドに登録しようと思ってます」
俺はグッと拳を握ってそう言った。
俺がそう言うと、レイスさんが何か考え出す。
「無理だな」
「……え?」
「君じゃ次の国に辿り着けない。次の国に行くにはここからだと3日は掛かる。その間にさっきみたいに魔物にだって襲われるだろう」
「……俺、こう見えても結構強いと思う」
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