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第27話
ショックだった。レイスさんは俺の事を心配して言ってくれてる。
それは分かってるのに、何か全てを否定されてるみたいだった。
そう思ってムスッとしてる俺を見て、レイスさんがため息をつく。
「そういうことを言ってるんじゃない。君は、この先がどうなってるのか知らないだろ。君は次の国がどの方角にあるか知ってる?食べ物はどうする?何が食べられて、何が駄目なのか知ってる?」
レイスさんにそう聞かれて、俺は答えることが出来なかった。
「……悪い。別に責めてる訳じゃないんだ。本来、冒険者になるには色々準備がいる。」
そう言ってレイスさんは申し訳なさそうにする。
「冒険者になるのにみんな武術や魔術の腕を研いたり、食材を覚えたりするんだ。それにフタバはまだ若すぎる。もう少し修練してからでも遅くはないと思う」
「………若すぎるって、ギルドに登録するのに年齢制限があるんですか?」
その世界によるけど、大体は成人したらOKだったと思ったけど………
異世界系の話では大抵は15歳で成人って設定が多い。この世界では違うのかな?
「いや、制限は無いけど、殆どが成人してから登録する人が多いな」
「……この世界の成人って何歳なんですか?」
そう聞くと、レイスさんは不思議そうな顔をする。
「なに言ってるんだ?成人は15歳だろ?」
あ、良かった。間違ってなかった。
………ん?ちょっと待てよ?
「………あの……1つ聞いても良いですか?レイスさんって……」
「あ、俺の事は『レイス』で良い。敬語もいらない」
そう言われて、俺は咳払いして気を取り直す。
「…レイスは俺の事、いくつだと思ってるの?」
「成人するかしないかくらいだろ?」
まさかとは思ってたけど、やっぱり下に見られてた。
「…………俺、17なんだけど」
そう言うと、レイスは驚いた顔をした。
「はぁ!?嘘だろ!?」
今まで下に見られる事なんて無かったのに。あれかな、日本人は幼く見えるってやつかな。
……それ、異世界でも当てはまるんだ。
「それに俺、こう見えて魔術師なんだよ。魔法もそれなりに使える」
「………君が魔術師?」
俺が魔術師と聞いて、レイスは心底驚いた顔をする
「だから、何とかなるよ」
少し怒り気味に言うと、レイスは困ったように笑った。
「ごめん、気を悪くしたなら謝る。フタバが冒険者になる事を止めるつもりじゃなかったんだ」
そう言うレイスをチラッと見ると、レイスはまた笑った。
「ただ君が心配だったんだ。俺は急いで冒険者になって死んでいった者を何人も知ってるから」
そう言ってレイスは俯いてしまった。
新人の冒険者の生存率が低いのは俺も知ってる。新人の冒険者は、最初は薬草採取とか弱い魔物の討伐とかで経験を積む。ギルドが冒険者にランク付けしてそのランクに見合った依頼しか受けられないのも新人の生存率を上げる為だ。
俺の場合は何もかもが未経験だ。いくら魔法が使えたとしても、そんな状態で次の国まで辿り着けるのか分からない。
レイスはそれを見抜いて、俺を気遣ってくれてるんだ。
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