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第32話

しばらく話をした後、レイスはもう疲れたとか言って眠ってしまった。俺はずっと寝てたから眠たくないし、今は寝れる気がしない。 俺はチラッと眠るレイスを見た。 夢にまで見た冒険者、それが今目の前に居る。それだけで俺はテンションを上げずにはいられなかった。 本当はレイスの話が聞きたかったんだけど、結局俺の話になっちゃった。まさかこの世界に収納魔法が存在してないとは思わなかった。無限収納じゃなくても、収納魔法って結構在り来たりなものだと思ってたんだけどな。それに無詠唱も。 異世界系はものによっては詠唱が必要な魔法もあるけど、殆どが術者のイメージが大事だったりする。 皆が詠唱を必要としてるのは多分それを知らないから。でもそれは俺がどうこう出来る事じゃないよな。 多分、無詠唱は俺がやり方を知ってたから出来たことだけど、この世界に元々存在しない無限収納のスキルが俺にあるのは何でだろう。それにレベル自体も多分他の人よりかなり高い。俺が召喚者だから? いやでも、だったら何で水上や高峰はレベルが低かったんだろう。 そんな事を考えて、俺はため息をついた。 駄目だ!いくら考えても分からない。 そう思って、俺はその場に倒れ込んだ。 ……いや、考えるだけ無駄なのかな。 しばらくボーッと考えた後、俺はムクッと起き上がった。 いつまでもうだうだ考えてても仕方ない。今は出来ることをするしかないよな。 そう思って俺は洞窟の外に出た。 今俺に出来ること。それはもっと魔法を使いこなせるようになること。 それに元々何も分からないんだ。いくら知識はあっても、それが通用しない事だってある。だったら自由にしてもいいよな。せっかく異世界に来たんだ。楽しみなきゃ損だよな。

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