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第34話

眠れないから魔法の練習をしていたら、突然レイスに呼ばれた。俺はレイスは寝てるものだと思ってたから急に名前を呼ばれて驚いた。 俺は複数の魔法をいくつ同時に使えるか試す為に小さい玉を出してた。 まぁ、途中から楽しくなって練習っていうより遊んでたんだけど…… 俺に駆け寄ってきたレイスは少しムスッとしてた。 ……もしかして怒らせちゃったかな。 そう思って謝ると、いきなり頭をワシャワシャと撫でられた。驚いてレイスを見ると、レイスが優しく微笑んでいた。 俺はそれが何か嬉しくて、釣られて笑ってしまった。 「それよりこれどうなってんの?」 「ッ!触ったら駄目!これ火だから、触ったら火傷しちゃう」 そう言って火の玉に触れようとしたレイスを慌てて止めた。 レイスが触れないように押さえてると、レイスからプッと笑い声が聞こえてきた。 「悪い。俺が迂闊だったね」 「これ威力は弱いけど、触ると怪我するから気を付けて………」 ふと顔を上げるとレイスの顔が目の前にあって、俺は一瞬思考が停止した。 「フタバ?どうかした?」 レイスが固まってしまった俺の目の前でヒラヒラと手を振る。俺はそれでハッと我に返った。 「……兎に角、無闇に触ったら駄目だよ」 そう言って俺はスッとレイスから離れた。 ッ!びっくりしたぁ。咄嗟だったとはいえ、俺からレイスに抱き付くなんて。 ………これじゃあレイスに距離が近いとか言えないな。 「さあ魔法の練習も良いけど、もう寝た方が良い」 レイスがパンッと手を叩いてそう言う。 「俺は大丈夫だよ。昼間ずっと寝てたから眠くないし、それに元々夜行性だから昼間より夜の方が得意なんだよね」 『レイスは寝てて良いよ』と言ってまた魔法の練習を再開しようとすると、レイスに手を掴まれて止められた。そのままグッと引き寄せられる。 「休むのも冒険者の仕事だ。休める時に休んでおかないと、いざというとき動けなくなるぞ。後先考えずに動くのは得策じゃない」 そう言って凄むレイスに、俺は少し怯んでしまった。 「……分かった」 俺がそう言うと、レイスはニコッと笑う。その後レイスはまた俺の頭を撫でた。 「よし。じゃあ中に戻るぞ」 そう言って俺の手を引くレイスに、俺は従うしかなかった。

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