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第36話
………良かった、居た。
レイスの体温を感じて、俺はホッと息を吐いた。
「フタバ!?どうしたんだ!?」
少し慌てた様子でそう言うレイスの声に俺はハッと我に返る。俺は自分が何をしてるのか分かると、慌ててレイスから離れた。
ッ!俺は何してるんだ!?
自分が仕出かした事を思い出すと、途端に恥ずかしくなる。
「ど、どこ行ってたの!?」
「これ獲ってたんだよ」
そう言って見せられたのは頭の落とされた鳥。俺はそれを見て思い切り引いてしまった。
「……なにそれ?」
「朝飯」
そう言ってレイスはニッと笑う。
あれを獲りに行ってたから居なかったのか
…………………置いてかれたわけじゃなかったんだ。
「フタバ?どうした、変な顔して」
そう言ってレイスが覗き込んできた。
俺はそんなレイスをキッと睨んだ。
「どっか行くなら一言言ってよ。言えって言ったのレイスじゃん!」
俺がそう言うと、レイスはきょとんとした後フッと吹き出した。
「ごめんごめん」
そう言ってレイスは笑いながら俺の頭をワシャワシャと撫でた。
何でだろう。レイスとは昨日会ったばかりなのに、レイスの傍はすごい落ち着く気がする。それにこうして頭を撫でられるのも悪い気はしない。むしろ嬉しかったりする。
あ、お兄ちゃんが居たらこんな感じなのかな。
そう思うと、ちょっと胸がホワッとした。
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