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第37話

朝ごはんの支度をすると言って、レイスは獲ってきた鳥を手際よくさばいていく。 俺は凄いなと思って、その様子を眺めていた。 「そういえば、フタバは料理は出来るのか?」 ふとレイスがそう聞いてくる。 「……出来るけど、今は分からない」 俺は元の世界では独り暮らしだったから料理くらい出来る。でもこの世界だと食材も分からなければ、調味料も分からない。だからそう答えた。 「何だよ、それ」 俺の返答を聞いて、レイスは呆れたように笑う。 「だったら、モノは試しで作ってみるか?」 「……良いの?美味しくないかもよ?」 そう言うと、レイスはフッと笑った。 「構わない。冒険者は野営をすることが多いからな、食べられれば大丈夫」 『味どうこうは言ってられない』とレイスは言うけど、やっぱり食べるものは美味しい方が良いと思う。 とりあえず朝食作りを手伝うことになった俺は、まず火起こしを命じられた。 火起こしは元の世界でサバイバルの本を読んで、木の棒と板を使って摩擦で火を着ける方法を一回だけやってみたことがあるけど、結果は全く着かなかった。 俺はそんな不確かな方法より、確実に着けられる魔法を選んだ。木の枝を集めて少し山を作る。それに火魔法で火を着けた。 火魔法 【火点】 魔法で火種を作るとあっという間に火が着いた。俺は完全に燃えてる事を確認すると、レイスが持ってた鍋に水を入れて、それを火に掛けた。 しばらくすると、鍋の中の水がふつふつとしてくる。それにレイスのさばいた鳥と残っていたキノコを放り込んだ。 アクを取りながらしばらく待つと、良い感じに煮えてきた。 「レイス、味付けっていつもはどうしてるの?」 そう聞くと、レイスは少し考える素振りをする。 「持ってる調味料や木の実で味付けする事はあるけど、基本はそのまま焼くか煮るかだな」 ………味付けしないんだ。 それって、料理って言えるのかちょっと微妙だな。 そのままでも美味しいのかなと思って、俺は何気無しに一口スープを飲んでみた。 一口飲むと、鳥とキノコの出汁がしっかり出てて意外に美味しかった。 これなら塩を入れて味を調えるだけで良いかも。 そう思って、俺はレイスに聞いてみた。 「レイス、塩ってある?」 「塩?」 レイスは『ちょっと待って』と言って、腰に着けてた巾着の中から小さい袋を取り出した。 手渡させた袋の中を見ると、細かく砕かれた岩塩が入っていた。 砕かれてるとはいえ、岩塩は一粒の大きさが小さめの小石くらいはある。 これ、調節がちょっと難しいかも。そう思って俺は取り合えず一粒だけ入れてみた。 スープをかき混ぜて岩塩を溶かすと、俺はもう一度味見をしてみた。 ………もうちょっとかな。 そう思ってもう一粒、小さめの岩塩を入れてもう一度味見をした。 「……レイス、これどうかな」 俺は良いとは思ったけど、ちょっと自信がなくてレイスに味を確認してもらった。 「良いんじゃないか。美味しいよ」 レイスにそう言われて、俺はホッと息を吐いた。

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