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第40話

レイスがギルドカードを見せてくれた。 どんな情報が書かれてるんだろう。 やっぱりステータスとかも書いてあるのかな。 そう思って俺ははやる気持ちを押さえつつギルドカードを見た。 でも俺はレイスのギルドカードを見て愕然とした。 ーーーーーーーーーーーーー эчя ЙЖШЦ кюф A δπθβεΨζ ΨεδφЖДσζλФ ーーーーーーーーーーーーー ……そうだった。俺、この世界の文字読めなかったんだ。 そう思って、俺はガクッと肩を落とした。 ………多分、左上のは名前でその横がランク。あとは何が書いてあるのか分からない。………やっぱり翻訳スキルが欲しい。 そんな事を考えていると、レイスがどうしたと聞いてくる。 俺は素直に読めない事を伝えた。 そう伝えると、レイスに『未修学なのか』と聞かれた。レイスの話では未修学っていうのは、色々な理由で勉強する機会か無くて、文字とかが書けないし読めない人の事を言うらしい。俺は元の世界では高校生だから当然字も書けるし、良くはないけどそれなりに勉強も出来るけど、この世界の文字は書けないし読めないから合ってるかも。 レイスに自分の住んでたところの文字なら書けると伝えると、自分の名前を書いてくれと言われた。俺は頷くと、手頃な枝を拾って地面に『レイス』とカタカナで書いた。そうすると、レイスはそれを見て眉をひそめて『これ、俺の名前が書かれてるんだよな?』と聞いてきた。 ……やっぱり読めないみたいだ。この世界にとっては異世界の文字だ。書かない方が良かったのかも。 レイスはそのまま俺が書いた文字を眺めて考え出してしまった。 俺が召喚者だってことはレイスには黙ってるけど、やっぱり向こうの文字を書いたのは不味いよね。レイスもさっきから何か考え込んでるし…… 「……なぁ」 しばらく考え込んでたレイスに突然声を掛けられて俺は思わず体が跳ねた。 そんな俺を見て、何か言い掛けてたレイスがまた黙ってしまう。 俺も何も言えなくて、二人して黙ってしまった。 しばらく沈黙が続くと、レイスからため息が聞こえる。そのため息に体がまた揺れた。 どうしよう。やっぱりレイスには言っておいた方が良いのかな? でも俺が召喚者なんて話、信じて貰えるかどうかも分からないし……… そんな事をぐるぐると考えていると、ポンと頭に手を置かれた。 「まぁ、フタバが話したくなった時で良いよ」 俺の考えてることが分かったのか、レイスはそう言って微笑んだ。 レイスになら、話しても良いんじゃないか。そう思うけど、俺が勇者だってことはやっぱりもうしばらく黙ってた方が良いような気がする。

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