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第45話
目が覚めると、一瞬状況が分からなくなる。
……俺、いつの間に寝てたんだろう。てか、こっちに来てから寝落ちばっかしてる気がする。
「……んっ」
そんな事を考えていると上から声が聞こえてきて、見るとレイスの顔が間近にあった。よくよく見ると、レイスに抱き締められる形になってて、俺は慌ててレイスから離れた。
「……フタバ?起きたのか…?」
レイスは寝起きのせいか、少しポヤっとしてる。
…………ちょっと可愛いかも。
そう思っていると、レイスがじっと見てきた。俺はその視線に思わず引いてしまう。
「フタバ、昼間の事覚えてるか?」
「……昼間?」
そう聞かれて、俺は考えた。
確かゴブリンが出て、俺が興奮して飛び出しちゃって、レイスを怒らせて………その後は………
俺はその後の事を思い出して、途端に顔が熱くなった。
「その様子なら、覚えてるみたいだな」
レイスはそう言って、少し呆れたようにため息をつく。
「で、結局何だったんだ?何で突然泣き出した?」
「………よく分からない」
「はぁ!?」
なんで泣いたのか、自分でもよく分からない。あの時はレイスに嫌われたかもと思ったら、無性に悲しくなって、怖くなった。
「……多分、レイスに嫌われたかもって思ったから」
「何で俺がフタバを嫌うんだ?」
「あの時、レイスが怒ったから?」
「……あの状況で怒らない奴は居ないと思うけどな」
確かにそうだ。ならなんであんなに悲しくなったんだろう。本当、よく分からない。
「まぁ良い。でも、無闇に魔物に飛び込んでいくような真似はもうするなよ。俺がフォロー出来ない時だってあるんだ」
真剣な目をして言うレイスに、俺は頷いた。
「…分かった」
そう言うと、レイスは優しく微笑んで俺の頭を撫でてくれた。
俺はその笑顔を見てホッと息を吐いた。
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