45 / 269

第45話

目が覚めると、一瞬状況が分からなくなる。 ……俺、いつの間に寝てたんだろう。てか、こっちに来てから寝落ちばっかしてる気がする。 「……んっ」 そんな事を考えていると上から声が聞こえてきて、見るとレイスの顔が間近にあった。よくよく見ると、レイスに抱き締められる形になってて、俺は慌ててレイスから離れた。 「……フタバ?起きたのか…?」 レイスは寝起きのせいか、少しポヤっとしてる。 …………ちょっと可愛いかも。 そう思っていると、レイスがじっと見てきた。俺はその視線に思わず引いてしまう。 「フタバ、昼間の事覚えてるか?」 「……昼間?」 そう聞かれて、俺は考えた。 確かゴブリンが出て、俺が興奮して飛び出しちゃって、レイスを怒らせて………その後は……… 俺はその後の事を思い出して、途端に顔が熱くなった。 「その様子なら、覚えてるみたいだな」 レイスはそう言って、少し呆れたようにため息をつく。 「で、結局何だったんだ?何で突然泣き出した?」 「………よく分からない」 「はぁ!?」 なんで泣いたのか、自分でもよく分からない。あの時はレイスに嫌われたかもと思ったら、無性に悲しくなって、怖くなった。 「……多分、レイスに嫌われたかもって思ったから」 「何で俺がフタバを嫌うんだ?」 「あの時、レイスが怒ったから?」 「……あの状況で怒らない奴は居ないと思うけどな」 確かにそうだ。ならなんであんなに悲しくなったんだろう。本当、よく分からない。 「まぁ良い。でも、無闇に魔物に飛び込んでいくような真似はもうするなよ。俺がフォロー出来ない時だってあるんだ」 真剣な目をして言うレイスに、俺は頷いた。 「…分かった」 そう言うと、レイスは優しく微笑んで俺の頭を撫でてくれた。 俺はその笑顔を見てホッと息を吐いた。

ともだちにシェアしよう!