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第46話

落ち着くとお腹がグゥーと音を発てて、俺はまた顔が熱くなった。 どうしてこうも人前で鳴るかな。 そう思ってお腹を押さえると、その様子を見てレイスがクスクスと笑う。 「何か腹に入れとくか。と言っても、干し肉くらいしか無いけど」 「干し肉!?」 「なんだ、干し肉好きなのか?」 『珍しいな』とレイスは呟く。 俺はそれに対して首を振った。 「干し肉食べたことない」 でもずっと気にはなってた。干し肉は冒険者にとっては必需品だ。一度食べてみたいと思ってた。 「食べたことないのにそんなに嬉しそうにするとか、やっぱ変わってるな」 そう言われて、なんかバカにされてる気分になって俺は少しムッとしてしまう。 そんな俺を見て、レイスはクスクスと笑っていた。 「俺の荷物を出してくれるか?」 そう言われてハッとする。 そういえばレイスの荷物は俺が持ってたんだった。 「ちょっと待って」 【無限収納】 頭の中で唱えると、魔法陣が現れてその中心にレイスの荷物が現れた。 レイスは現れた荷物を開けると、ゴソゴソと漁り始める。しばらくして取り出したのは、小さい小袋だった。 「ほら」 そう言って小袋から取り出した干し肉を手渡される。俺はそれを受け取った。 俺は受け取った干し肉をまじまじと観察する。 触った感じは思ったより硬い。味はどうなんだろう。俺の中でのイメージはジャーキーなんだけど…… そう思って、俺はドキドキしながら干し肉を口に入れた。 ………硬っ! 一口かじってみた結果、硬すぎて噛めなかった。 俺はとりあえず、ガシガジと噛み続けてみた。そうすると次第に柔らかくなってきて味がするようになる。 硬くてパサついてて、少し臭みがあって……正直美味しくない。 ………これが干し肉。名前の通り本当に干しただけのただの肉。味付けも何もされてない。 ……そうか、ジャーキーはちゃんと味付けしてるから美味しいのか。 そう思って肩を落としてる俺を見てレイスは笑ってる。 「美味しくないだろ」 「………想像とかなり違ってた」 俺はジャーキーを想像してただけに、その違いに衝撃を受けた。

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