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第52話

朝ご飯も食べ終えて片付けを終えると、出発の準備をする。 俺は最後にホーンラビットを撫で回していた。 俺が頭を撫でると、ホーンラビットはすり寄ってくる。 あぁ~、可愛い。 離れるのは寂しいけど、やっぱこいつも生まれ育った森の方が良いよね。 でもこのまま別れるのはちょっとな………あ、そうだ。 俺はふと思い付いて、首からペンダントを外した。 「これあげる」 そう言ってホーンラビットの首にペンダントをつける。 本当は野生の生き物にこういうものは着けない方が良いのかもしれないけど、これならチェーンも細いから引っ掛かっても切れると思う。 「フタバ、行くぞ」 少し離れた場所からレイスが叫ぶ。 「今行くよ」 レイスに向けてそう言うと、俺はもう一度ホーンラビットに向き直る。 俺はホーンラビットの頭に手を置いた。 「じゃあね」 そう言って俺はホーンラビットを置いてレイスの元に走った。 チラッとホーンラビットを見ると、まだその場に居る。 すぐにどっかに行ってくれれば諦められるのに、ああやって動かずに居られると離れがたくなる。 そんな事を考えていると、レイスにポンポンと頭を叩かれた。 見ると、レイスは優しく微笑んでる。 「行くぞ」 「……うん」 レイスに背中を押されて後ろ髪を引かれながらも、俺たちはレオーネに向けて出発した。 「良かったのか?」 レオーネに向けてしばらく歩いていると、レイスが唐突に聞いてくる。 「何が?」 「首飾り。何かの魔道具だったんじゃなかったのか?」 どうやらレイスは俺がホーンラビットにあげたペンダントが気になってるみたいだ。 「大丈夫だよ。あれは魔道具じゃなくてただの装飾品だから」 「……そうなのか?」 「うん」 あれは俺が元から着けてたあっちの世界の物だから、こっちの世界では何の役にも立たないんだよね。まぁ、あっちの世界でもただの装飾品なんだけど。 「それにホーンラビットに何かあげたかったんだけど、あれくらいしか持ってなかったから」 そう言うと、レイスはまた俺の頭をポンポンと叩いた。 あいつは魔物だから、生存競争に負けるかもしれない。冒険者に討伐されるかもしれない。 確率は低いのかもしれないけど、いつかまた会えると良いな。

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