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第53話

「もう少しで森を抜ける。そうすればレオーネまではすぐだ」 休憩中、レイスがそう言う。 「本当?」 「あぁ、このまま行けば暗くなる前には着けるだろう」 レイスの話では、森を抜ければすぐレオーネの国境が見えるらしい。 俺にとってはこの世界で初めてまともに行く国。一体どんな国なんだろう。 「どうだ、もうそろそろ行けそうか?」 「うん、もう大丈夫」 レイスは体力の無い俺に合わせてゆっくりと進んでくれた。 レイスだけならとっくにレオーネに着いてる筈なのに、俺に合わせてかなりの時間を費やしてる。 なんかレイスには迷惑しか掛けてないような気がする。これからはもっと体力着けなきゃ。 ………一人になっても大丈夫なように レイスとはレオーネまでの約束だ。 レオーネに着いたら、レイスと別行動になる。そうすれば俺は一人で何とかしなきゃいけない。 俺はレイスをチラッと見る。 …………もっと、レイスと一緒に居られたらいいのにな 「じゃあ、そろそろ行くか」 そう言うレイスの声に、俺はハッとした。 俺は何を考えてるんだ!?そんなのレイスの迷惑にしかならないのに。 これ以上レイスに甘える訳にはいかない。 『出発するぞ』と言うレイスに俺は慌てて立ち上がろうとした。 その瞬間、腕にピリッと痛みが走った。 「っ!」 痛みが走った場所を見ると、切り傷が出来ていた。 何かで切っちゃったかな。 「フタバ、どうかしたか?」 なかなか来ない俺を気にしてか、レイスがそう聞こえてくる。 「ううん、何でも無いよ」 一瞬、傷の事が頭を過ったけど……… かすり傷だし、これくらい大丈夫だよね。 そう思って、俺はレイスの元に急いで駆け寄った。 しばらく歩くと、森の終わりが見えてきた。 森を抜けると、離れた場所に塀が見える。 ……あれがレオーネの国境。 「もう少しだから」 そう言ってレイスが前を歩く。俺もそれに続こうとした。 その瞬間、クラっと目眩がした。 ……なに?急に、目眩が…… そう思った瞬間、俺の記憶はここで途切れた。

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