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第56話
「っ!」
目を開けると、一瞬頭痛がして頭を押さえた。
………俺、どうしたんだ?
俺は起きようと思って体を起こそうとすると、その瞬間クラっとしてまたベッドに舞い戻った。
なんだ……頭がクラクラする
俺は息を吐いて、ゆっくりと回りを見た。
見たこと無い部屋……ここは何処なんだろう。
そう思って俺はもう一度体を起こすと、手が引かれる感じがした。
見ると、レイスが俺の手を握ったままうつ伏して眠っていた。
「……レイス」
名前を呼んでそっとレイスの髪に触れると、レイスがバッと起き上がる。
レイスは少し驚いたような顔で俺を見た。
俺も突然起きたレイスに驚いて固まってしまった。
しばらく二人の間に沈黙が流れる。
………何か喋らなきゃ。
そう思って俺は必死に考える。
「……えと……おはよう?」
結局なんて言って良いのか分からなくて、出てきた言葉がこれだった。
それでもレイスは無反応で、俺はどうしたのかと思ってレイスの覗き込んだ。
その瞬間、レイスが突然抱き締めてきた。
「レ、レイス!?」
突然抱き締めてきたレイスに、俺は戸惑ってしまう。
な、なに!?急にどうしたの!?
「……良かった」
俺がワタワタと焦っていると、小さな声でそう聞こえてきた。
俺は自分自身に何があったのかよく分からないけど、レイスに心配掛けちゃったみたいだ。
「……ごめん、もう大丈夫だから」
そう言ってレイスを抱き締め返した。
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