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第59話
「……で、どうしてフタバがこんな所に居るんだ?」
レイスは俺が落ち着いた事を確認すると、再度そう聞いてきた。
「……レイスに話があって探してた」
「話?」
レイスは『何?』とでも言うような目でじっと見てくる。
俺はレイスに見つめられて、思わず目が泳いでしまった。
「……えと……」
何て言って良いのか分からなくて、上手く言葉が出てこない。でも今言わないと、多分もう言えなくなる。
そう思って俺はキュッと唇に力を入れて意を決する。
「ごめんなさい!!」
そう言って頭を下げる。
しばらくしてレイスの反応が気になってチラッと見ると、レイスは驚いた顔で固まっていた。
「…えと……毒の事、ミーヤさんに聞いた。俺、何も知らなくて…大丈夫だって決めつけてレイスに一杯心配掛けた」
「……いや、教えなかった俺も悪い。森には危険な植物もあるって前もって教えておけば良かった」
「レイスは何も悪くないよ。俺が注意しておけば良かったんだ」
「いや俺が………」
「………」
しばらく『俺が』『俺が』とお互いに言い合ってたら、その言い合いがくだらない事に気付いて二人して黙ってしまう。
しばらく沈黙した後、俺たちは二人同時に吹き出してしまった。
「……戻るか」
しばらく笑い合って落ち着くと、レイスが俺の頭に手を置いてそう言う。
俺も、それに頷いた。
「じゃあ、そろそろ立て」
そう言ってレイスはいまだに座り込んでる俺に手を差し出す。
「……えっと……」
俺はその手を取るのを躊躇する。
「どうした?もしかして気分が悪いのか!?」
そう言ってレイスが俺の肩をガシッと掴む。俺はレイスに勘違いをさせてしまったと分かって慌てた。
「いや、気分は大丈夫!………大丈夫なんだけど……」
俺は走りすぎて体力の限界で動けない事をレイスに伝えると、レイスからは大きなため息が返ってきた。
「……お前さ、そろそろ自分の体力の限界を把握しろよ」
レイスが呆れ気味に言う。
「……ごめん」
何かもう本当に申し訳なくて、俺は俯いてしまう。
レイスからは、またため息が聞こえてきた。
「……ほら」
レイスは背中を向けて俺の前にしゃがむ。
………えっと、これは。
「何してる?早く乗れ」
そう言ってレイスが後ろ手にチョイチョイと手招きしてくる。
「いやいやいや、そんなしなくても大丈夫だって」
流石にこんな人の多いところでおんぶされるのは恥ずかしい。
「動けないくせに何言ってる。おんぶが嫌なら横抱きにして運ぶけど?」
そう言ってレイスはニヤッと笑う。
「うっ……」
お姫様抱っこなんて、それこそ恥ずかし過ぎて死ぬ。
俺はお姫様抱っこよりはまだおんぶされる方がマシと思って目の前にある背中に乗った。
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