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第61話
ミーヤさんはもう一度俺の傷を診た後帰っていった。
「…ねぇレイス、ここでは獣人の扱いは……?」
そう聞くと、レイスは難しそうな顔をする。
「このレオーネではそこまで酷くは無いけど、他では差別の対象になってる。人として扱われてない。人じゃないから人権も何も無いし、例え命を奪ったとしても咎められることはない」
元の世界で、獣人が虐げられるシーンはよく見た。それを見て俺は『酷いことするな』なんて漠然と思うくらいだった。それは現実味が無かったから……
でも今はこっちが現実で、こうしてミーヤさんとも知り合えて、獣人が酷い目に合ってるって思うと辛い。
「……どうして……獣人には感情もあって意志疎通も出来るのに……
話してみたら俺たちと何も変わらないのに、なんでそんな酷いことが出来るんだろう」
そう言うと、レイスが俺の頭に手を置いた。
「皆、フタバみたいな考えだと良かったんだけどな。
人間は強欲だから、価値を見出だしたら何がなんでも手に入れようとする。そこに相手の意思なんて関係無いんだよ」
「………何か、やだ」
「……そうだな」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
(レイスside)
俺は眠ってしまったフタバを眺めていた。
フタバの髪に触れると、フタバは『んっ』と唸って寝返りをうつ。
その姿に俺は自然と笑みが溢れた。
フタバが獣人に興味を持っている事は知っていた。
ミーヤに会わせたのも、フタバが獣人に対する興味が邪なものじゃないと分かっていたから。
単純にフタバが喜ぶと思っていた。
俺はふと、獣人の置かれた立場を知って泣きそになるフタバの顔を思い出す。
あんな顔、させるつもりじゃ無かったんだけどな。
でもフタバが冒険者になれば、これからもっと汚いものを知ることになる。
フタバは純粋でキレイな存在だ。出来れば変わらないでいて欲しいんだけどな。
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