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第68話

「お待たせしました」 しばらくすると、ミーヤさんが奥から戻ってくる。 「では、まずはフタバさんから」 ミーヤさんは受付の上に書類を出す。 「こちらが冒険者登録の用紙になります。必要項目を記入してください」 そう言ってペンを手渡された。 ………どうしよう。色々書かなきゃいかない事は分かってたけど、文字が…… そう思って、俺はチラッとレイスを見た。 「貸してみろ、俺が書く」 俺の視線に気付いてか、レイスがそう言って俺からペンを取った。 「……もしかしてフタバさんは未修学なんですか?」 「……えっと……」 未修学では無いけど、この世界の読み書きは出来ない。召喚者ですからとも言えないし…… そう思っていると、何かを察してかミーヤさんが『余計な事を聞きましたね』と言って謝ってきた。何か勘違いをさせてしまったようで申し訳ない。 レイスは俺の年齢や職業、属性なんかを聞きながら登録用紙を書いていく。 俺も質問に答えながら、その様子を眺めていた。 レイスが登録用紙を書いている所を見ていると、ふとあることを思い出した。 そういえば、こういう時って大体…… 「おいおい!未修学だってよ!」 「学校から出直した方が良いんじゃないのか?」 そう言って『ギャハハ』と笑い声が聞こえてきた。 キターーーーーッ!!ギルド名物、新人イビリ!! 冒険者ギルドで登録する時に、殆どの作品で主人公が高確率で他の冒険者に絡まれるというギルドでの名物イベント。 俺は主人公じゃ無いけど、まさかこの名物を体験出来るなんて思わなかった! 俺は感動して、グッと小さくガッツポーズをした。 見ると、厳つい男の人が3人。絵に書いたようなザコキャ………… ん"っん"っ! 冒険者たちが立ってて俺たちを笑っている。 俺たちと言うより、笑われてるのは俺だけかな。 その人たちは俺に近付いて来て、ニヤニヤとしながら絡んでくる。 こういう場合って、大抵相手はDかCランクなんだよね。 ランクが上がって、一番意気がってる時だ。 ちなみに、Bランクくらいになると世間を知って落ち着いてくるみたい。 「おい!聞いてんのか!?」 そんな事を考えながらその人たちを観察してると、突然その人たちが怒り出した。 「…あ……すいません」 全く聞いてなかった。 「ふざけんな!!」 俺がそう言うと、その人たちは怒って殴り掛かってきた。

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