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第69話
絡んできた冒険者たちが怒り出して殴り掛かってくる。
マズいと思った瞬間、体が引っ張られて別の所からバシッと音がした。
見るとレイスが俺の体を引き寄せて、殴り掛かってきた冒険者たちのこぶしを止めていた。
「……俺の仲間に何してんの?」
レイスがそう言って睨むと、冒険者たちの顔が一気に青ざめる。
俺でも分かるくらいすごい殺気。この殺気を向けられた冒険者たちは堪ったものじゃないだろうな。
俺に絡んできた冒険者たちは、レイスの殺気に怖じ気付いて何も言わず逃げるように去っていった。
すごい、一声で追い払っちゃった。やっぱり実力の差かな。
俺に絡んできた冒険者たちが逃げて、レイスが息を吐く。
「ちょっと目を離した隙に、何絡まれてんだよ」
そうレイスが呆れ気味に言う。
「俺のせいじゃないよ」
「それはそうだけど、回避くらいしろよ」
「それは無理。名物イベントには参加しなきゃ」
そう言って俺は首を振る。
「……悪い。何言ってるのかちょっと分からない」
「フタバさん、大丈夫ですか!?」
騒ぎに気付いたミーヤさんが、そう言って走ってくる。
「大丈夫。レイスが助けてくれた」
そう言うと、ミーヤさんはホッと息を吐いた。
「良かったです。ここはガラの悪い冒険者も居ますから」
「うん、何処にでも居るよね」
俺がそう言うと、レイスは呆れたようにため息をついて、ミーヤさんは苦笑いを浮かべていた。
「……あ、登録の続きをしますね」
ミーヤさんが話題を変えるようにそう言う。
………俺、何か変なこと言ったかな?
そう思いながらも、俺はまずは登録が最優先と思って受付に戻った。
「記入していただいた書類は大丈夫でしたので、これからギルドカードを作っていきます。フタバさんは魔術師ですので魔力をカードに登録します」
ミーヤさんはそう言って魔道具を受付の上に取り出した。
その後、魔道具にカードをセットする。
「ではこちらに触れていただけますか?」
そう言われて、俺はその魔道具に触れた。
魔道具に触れると、それが強い光を放つ。俺は思わず目を閉じた。
光が収まってミーヤさんが魔道具からカードを取り出した。
「これで登録終了です。こちらがフタバさんのギルドカードになります。無くさないように気を付けてくださいね」
そう言ってミーヤさんがギルドカードを差し出す。
……これが俺のギルドカード。
俺はそれを震える手で受け取った。
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