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第71話
(レイスside)
冒険者になったことが余程嬉しいのか、フタバはさっきから上機嫌だ。
ギルドカードを掲げながら鼻歌まじりで歩いてる。
その姿が可愛いと思って、俺は自然と口角が上がった。
しばらくその様子を後ろから眺めていると、フタバが誰かとぶつかった。
フタバはぶつかった相手にペコペコと謝っている。
本当に危なっかしいな。
「嬉しいのは分かるけど、ちゃんと前を見て歩け」
そう言うと、フタバは申し訳なさそうにした。
「ごめん」
俺はため息をついて、フタバの頭を撫でた。
「ねぇ、これからどうするの?依頼受ける?」
フタバがウキウキした感じで聞いてくる。
「いや、しばらく依頼は受けない」
「どうして?」
そう言ってフタバは目に見えてシュンとしてしまう。
「今のままだと、フタバが依頼を達成する事は出来ない。途中で力尽きるのが目に見えてる。だからしばらくはフタバの特訓だな」
俺が『魔法の練習もしなきゃな』と言うと、フタバの目が一気に輝いた。
「特訓ってレイスが見てくれるの?」
「いや、俺は魔法は使えないからな………」
俺は魔法が使えないから、フタバに魔法を教える事は出来ない。
そう思って俺は考えた。
しばらく考えていると、ある人物を思い出した。
「魔法が教えられる適任が居る。今こらそいつに会いに行くぞ」
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