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第74話
俺とレイスはリオさんの案内で、長い廊下を歩いていた。
…………てか、この廊下長すぎ!結構歩いてるのに、まだ行き止まりが見えないし。
…流石に少し疲れてきた。
そう思って、俺は息を吐く。
「フタバ、大丈夫か?」
そんな俺に気付いてか、レイスが覗き込んでくる。
「うん、大丈夫」
俺はレイスに精一杯の笑顔を向けた。
「もう少しで着きますので」
とリオさんが言う。
俺はリオさんのその言葉を信じて歩いた。
しばらく歩くと、開けた場所に出た。
「すぐにディルハルト様がいらっしゃいますので、この中庭で少々お待ち下さい」
そう言ってリオさんはお辞儀をすると、どこかへ行ってしまった。
凄い!これが中庭!?
……って奥の方に小さく森みたいなのあるし、中庭ってレベルじゃないんだけど!?
「ね、ねぇレイス?さっきリオさんが言ってた『ディルハルト様』って……?」
「あぁ、ここの主で、俺の幼少の時からの友人なんだよ」
「ここって、王宮だよね?」
「王宮っていうか、離宮だな」
『ちょっとした離れみたいなものだ』とレイスは笑う。
離れなんてレベルじゃないし!!立派な宮殿だし!!離れってもっとこう、こじんまりとした建物の事を言うんじゃないの!?
そう思って、俺は頭を抱えた。
「さっきからどうしたんだ?」
「ねぇ、ディルハルト様って」
「あぁ、あいつは………」
「レイス!!」
そんな話をしていると、遠くからレイスを呼ぶ声が聞こえてきた。
声がした方を見ると、男の人が軽く手を挙げて近付いて来た。
「レイス、久しいな。なかなか顔を見せないからどうしたのかと思った」
そう言ってその人はレイスに話し掛ける。
「こっちも色々と忙しくて。それより、今日は急に悪かったな」
レイスもその人に笑いながら話をする。
「いや、構わない」
誰だろう。レイスとすごく親しい感じ……
金髪にスカイブルーの瞳。
髪の毛が日の光でキラキラと光って、レイスの時も思ったけど、この人もお伽噺に出てくる王子様みたいだ。
そう思って二人を見ていたら、その人とレイスが同時にこっちを見てきて、俺は思わず体が揺れた。
その人がじっと俺を見てきて、俺は引いてしまう。
そんな俺を見てその人はフッと笑った。
「初にお目にかかる。俺はレオーネ王国第一王子、ディルハルト・レオーネ」
『よろしく頼む』とその人は言う。
確かに王子様みたいとは思ったけど、まさか本当に王子様だなんて…………
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