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第75話
(レイスside)
宮内を歩いていると、リオが立ってるのが見えた。
リオは『お久しぶりです』と挨拶をしてくる。
いつも通り呼ばれたらちょっとマズいな。
そう思って、俺はリオが俺の名前を呼ぶ前にフタバに気付かれないように、自分の口に人差し指を当ててそれをそれを制した。
リオはそれを察して、呼び方を変えてくれた。いつもと呼び方が違うからちょっと違和感はあるけど、フタバにバレるよりは良いと思った。
フタバには何も言わずに連れてきたけど、流石に色々と気づき始めたみたいでおろおろとし出す。
フタバはこういうことの勘は良いんだよな。
中庭で待っている間、フタバが色々と聞いてきだした。流石にこれから会う相手の事は教えておいた方が良いか。
そう思って相手の事をフタバに教えようとしたら、遠くから名前を呼ばれた。
その声の主は、レオーネ王国第一皇子 ディルハルト・レオーネ
ディルがフタバに自己紹介をすると、フタバは固まってしまった。
「……フタバ?大丈夫か?」
固まってるフタバに声を掛けるけど、フタバから反応は返ってこなかった。
「彼に俺の事を伝えてなかったのか?」
ディルがフタバの反応を見てそう聞いてくる。
「いや……ディルが王族だって、当たり前すぎて忘れてたっていうか」
そう言うと、ディルが笑う。
「ディル、彼はフタバだ。俺とパーティーを組んでる」
俺はフタバが名乗れる状態じゃないと判断して、代わりに紹介した。
「レイスがパーティー組むなんて、どういう風の吹き回しだ?」
「うーん、これといって理由は無いんだよ」
そう言って俺は、いまだに頭を抱えてぶつぶつと何かを言ってるフタバに視線を向ける。
「ただ、危なっかしくて放っておけないと思ったんだ」
「……それだけ?」
「それだけって?」
「んー?いや、やっぱり良い」
そう言ってディルは意味有り気に笑って、フタバに寄っていった。
俺は訳が分からなく首を傾げた。
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