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第76話

なんでこんなところで王子様が出てくるの!?王子様ってこんな気軽に会えるものなの!? 「大丈夫?」 そんな事を考えていると、目の前を何かが横切る。俺はそれでハッとした。 バッと顔を上げると、王子様が俺を覗き込んでいて、俺はそれでまたパニックになった。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ (レイスside) フタバを見ると、冷や汗をかいて目はうろうろと泳いでる。 あー、あれは相当パニクってるな。 俺はため息をついて、フタバに近寄った。 「悪い、相当パニクってるみたいだから落ち着かせてくる」 そうディルに告げると、俺はフタバを連れて少しディルから離れた。 ディルから離れてしばらく様子を見ていると、フタバはずっとぶつぶつと何かを言い続けて、自分の世界から中々帰ってこない。 「フタバ」 俺はフタバの目の前で手をヒラヒラと振る。 そうすると、フタバの体がピクンと反応した。 「フタバ?」 フタバの顔を覗き込むと、ようやくフタバと目が合った。 「……レ、イス…?」 フタバが俺の目を見て名前を呼ぶ。俺はホッと息を吐いた。 でも次の瞬間、フタバが俺の胸ぐらを掴んできた。 「何で言ってくれなかったの!?いきなり王子様ってどういう事!?」 そう言ってガクガクと揺さぶられる。 「わ、悪かった。それは謝るから!」 俺がそう言うと、フタバは俺の胸に額をつける。 「どうすんの?俺、王子様への対応なんて出来ないよ?」 フタバはまたぶつぶつと言い出した。 「大丈夫だ、ディルはそういうの気にしないから」 そう言うと、フタバがキッと睨んできた。 「そういう問題じゃない!!レイスは良いかもしれないけど、俺は一般人なの!!王子様なんて恐れ多いの!!」

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