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第76話
なんでこんなところで王子様が出てくるの!?王子様ってこんな気軽に会えるものなの!?
「大丈夫?」
そんな事を考えていると、目の前を何かが横切る。俺はそれでハッとした。
バッと顔を上げると、王子様が俺を覗き込んでいて、俺はそれでまたパニックになった。
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(レイスside)
フタバを見ると、冷や汗をかいて目はうろうろと泳いでる。
あー、あれは相当パニクってるな。
俺はため息をついて、フタバに近寄った。
「悪い、相当パニクってるみたいだから落ち着かせてくる」
そうディルに告げると、俺はフタバを連れて少しディルから離れた。
ディルから離れてしばらく様子を見ていると、フタバはずっとぶつぶつと何かを言い続けて、自分の世界から中々帰ってこない。
「フタバ」
俺はフタバの目の前で手をヒラヒラと振る。
そうすると、フタバの体がピクンと反応した。
「フタバ?」
フタバの顔を覗き込むと、ようやくフタバと目が合った。
「……レ、イス…?」
フタバが俺の目を見て名前を呼ぶ。俺はホッと息を吐いた。
でも次の瞬間、フタバが俺の胸ぐらを掴んできた。
「何で言ってくれなかったの!?いきなり王子様ってどういう事!?」
そう言ってガクガクと揺さぶられる。
「わ、悪かった。それは謝るから!」
俺がそう言うと、フタバは俺の胸に額をつける。
「どうすんの?俺、王子様への対応なんて出来ないよ?」
フタバはまたぶつぶつと言い出した。
「大丈夫だ、ディルはそういうの気にしないから」
そう言うと、フタバがキッと睨んできた。
「そういう問題じゃない!!レイスは良いかもしれないけど、俺は一般人なの!!王子様なんて恐れ多いの!!」
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