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第79話
レイスとディルが手合わせし始めてから結構な時間が経った。
いまだに剣と剣がぶつかり合う音が響いている。
…………何か、手合わせにしては鬼気迫るものがあるんだけど…
……あ、でも…レイス何か楽しそう。最初は渋々って感じだったのに。
そう思ったら、自然と笑みが溢れた。
「懐かしいですね」
二人を見てると後ろからそう声がして、見るとリオさんが立っていた。
「お二人が幼少の頃は、ああしてよく手合わせをしてたんですよ」
そう言ってリオさんは懐かしそうに笑う。
「どっちが強かったんですか?」
「そうですね、五分五分といったところでしょうか。お二人とも負けず嫌いなので、負けた方が必ず再戦を申し込んでましたね」
その様子が何となく想像ついて、俺は思わず笑ってしまった。
「……フタバさん、一つお伺いしてもよろしいですか?」
リオさんにそう言われて、俺は首を傾げた。
「レイスさんとはどういった関係なんですか?」
「……レイスとの関係?」
俺は、レイスとはどういう関係なんだろう?
仲間……はちょっと違う気がする。
「……強いて言うなら、兄弟……みたいな?」
「……兄弟、ですか?」
「あっ!これは俺が勝手にそう思ってるだけだから!」
そう言って、俺は慌てて手をパタパタと振る。
「………なんていうか、レイスと初めて会ったときにお兄さんみたいだなって思ったんです。俺、独りっ子だから、ずっとお兄さん欲しかったんですよね」
「そうですか」
そう言ってリオさんはフッと笑った。
リオさんとそんな話をしていると、カシャンと音がした。見ると、レイスがディルの剣を弾き飛ばしたところだった。
「俺の勝ちだな」
剣を弾き飛ばされて座り込むディルに、レイスが見下ろしながら言う。
その言葉にディルは唇を噛んだ。
「もう一回!!」
ディルがそう再戦を申し込む。
「一本勝負だと言っただろ。再戦は受け入れない」
「勝ち逃げするのか!?それは狡いぞ!」
そう言うディルに、レイスはため息をついた。
さっきリオさんが言ってたのはこういう事か……
その様子を見て、俺は思わず笑いそうになってしまった。
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