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第83話
(リオside)
「リオ、あの二人どう思う?」
お二人が帰った後、ディル様がそう聞いてくる。
「……どうとは?」
「あの二人の関係だよ」
そう言われて、私は『あぁ』と納得した。
「あのお二人はお互いに色々と無自覚のようですね。フタバさんはレイス様の事を兄みたいだと言っていましたし」
「そういえば、レイスも似たような事を言っていた。あれだけイチャついてて無自覚とは…」
そう言ってディル様が『ククッ』と笑う。
「それにお前のレイスへの呼び方もなかなか面白かったぞ?」
そう言うディル様に、私はため息をつく。
「……仕方ありませんよ。レイス様がお止めになったのですから。
………フタバさんは、レイス様の事を聞かされてはいないようですね」
私がそう言うと、さっきまで笑っていたディル様が真剣な表情になる。
「レイスは隠しておきたいみたいだけど、フタバは相当勘がいいぞ。今日の事で色々と気付くかもしれないな。それに……」
「ディル様に対しての警戒心ですか?」
そう言うと、ディル様は少し驚いた表情を見せる。
「気付いてたのか」
「えぇ」
「まぁ、突然こんなところに連れてこられて警戒するなっていうのは無理な話だか、馴染んだ後も俺への警戒だけは続けていた。」
「フタバさんにも何かあるかもしれないですね」
「まぁ、明日からここに住むんだ。その内話してくれるだろう」
そう言ってディル様は窓の外に視線を向けた。
フタバさんに関しては、色々と気になる事がある。
あのフタバさんから感じた強力な魔力。フタバさんは魔術師だと言っていたけど、本当は違うのではないかと思う。まぁ、それも自ずと分かる事だろう。
「……ところでディル様?あのお二人がここに住む事は陛下にはお伝えしてあるんですよね?」
そう聞くと、ディル様はきょとんとした後『しまった』とでも言うような顔をする。
「………………まさか…?」
「………忘れてた」
そう言うディル様に、私はため息しか出なかった。
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