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第86話
頭を下げてくる二人に、俺はため息をついた。
「何か勘違いしてない?俺は召喚された事はこれっぽっちも怒ってないよ」
俺がそう言うと、二人が驚いたように俺を見た。
「で、ですが…それに怒って城を出ていかれたのでは?」
フレディが恐る恐る聞いてくる。
「俺が城を出たのは、二人には申し訳ないけど、あの王様が気に入らなかっただけ。召喚に関しては、むしろ感謝してるくらいだよ」
そう言うと、レイスとフレディは顔を見合わせた。
「……召喚は望んでいた、ということですか?」
信じられないとでも言うような表情でフレディが見てくる。
「俺の世界では異世界を題材とした物語が沢山ある。俺はその世界観が大好きなんだ。出来るならその世界を自分自身で体験してみたいってずっと思ってた。フレディは俺のその夢を叶えてくれたんだよ。
……国の為なんて名目の捨て駒になるつもりは無い。自由にこの世界を見たい、だから俺は城を出たんだ」
いまだにポカンとしてるフレディに、俺は笑いかけた。
「だから、フレディが謝る必要なんて何処にも無いんだよ」
そう言うと、フレディが目に涙を溜めて、手で顔を覆って俯いてしまった。
「え!?なんで泣くの!?」
俺、何か泣かせるような事言った!?
そう思って、困った俺はレイスを見て助けを求めた。
そんな俺に、レイスはただ笑うだけだった。
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