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第88話

フレディはレイスに今の状況を伝えに来たみたいだ。この世界には通信技術が無いから、何かを伝えようと思ったら手紙を送るか、直接会うしかない。 ちょっと不便だな。 「フレディ、本当に送らなくて大丈夫なのか?」 一通り話終えて、フレディがアルザイルに帰ると言ってレイスがさっきからずっと心配している。 「心配要りませんよ。国境を出たところでロイドが待っていますから」 「ロイドが来てるのか。ここまではロイドに?」 「はい」 そう言ってフレディがニコッと笑う。 「お会いになりますか?」 「……そうだな。久しぶりだし、顔を見せておくか」 そう言ってレイスとフレディは国境に向けて歩き出した。 どうやら、国境の外までの見送りが決定したみたい。 俺も二人の後に続いた。 ロイドさんってどんな人だろう。 フレディと一緒に来たって事は、護衛って事だよね。 そんな事を考えながら歩いてると、ふとあることを思い出した。 「あ、フレディ、ちょっと聞きたいことがあるんだけど……」 「何でしょうか?」 「あの二人って、今どうしてるの?」 俺が気になったのは、俺と一緒に召喚された二人。水上と高峰の事だった。 「あの方たちは今、勇者として訓練を受けている所です。国王が腕の立つ者をつけているようです」 「…そうなんだ。待遇とかは?不等に扱われたりとかしてない?」 「それはありません。お二方とも高待遇を受けていますよ」 「…そっか。それを聞いてちょっと安心した。俺が逃げた事で、あの二人が不等に扱われたりしたらどうしようって思ってたんだ」 そう言って俺はホッと息を吐いた。 しばらく歩くと国境が近付いてくる。 レイスが門番に事情を話して通ることを許可された俺たちは、国境をくぐってレオーネ王国の外に出た。

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