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第89話

国境を抜けると、少し離れた場所に繋いだ馬とその馬を世話してる人が居た。 レイスとフレディは迷わずその人に近付いていった。 その人がレイスとフレディに気付いて走ってきた。 わぁ、レイスとはまた違う騎士服ですごい格好いい! 「フレデリア様、お帰りなさいませ」 そう言ってその人のフレディに胸に手を当ててお辞儀をする。 その後、その人はレイスに向き直った。 「お久し振りです。レイス殿下」 そう言ってその人はレイスにもフレディと同じようにお辞儀をした。 「今は殿下じゃないよ」 レイスは少し困ったように笑ってそう言った。 レイスがそう言うと、その人は笑う。 「そうでしたね。お元気そうで安心しました」 その人がそう言うと、レイスはフッと笑った。 「ロイドも元気そうだな」 レイスのこういう姿を見ると、やっぱりレイスは王子様なんだと思う。 ……ディルの時も思ったけど、何か俺だけ茅の外みたいだ。 三人は俺の分からない話で盛り上がってる。俺は途端に寂しくなった。 「フタバ、どうした?」 俺がボーッと三人を眺めていると、レイスが覗き込んでくる。 「ううん、何でもないよ」 俺がそう言うと、レイスは『そうか?』と首を傾げた。 レイスと出会ってまだ一週間ちょっと。俺が知らないレイスが居るのは当たり前なのに何を落ち込んでるんだろう。 そう思って、俺は息を吐いた。 「フタバ紹介する、彼はロイドだ」 レイスがそう言うと、その人は俺に向けてお辞儀をする。 「初にお目にかかります。私はロイド・ジオールと申します。お会い出来て光栄に思います、勇者様」 そう言ってその人はニコッと笑った。 「え?どうして俺が勇者だって……?」 「勇者召喚の儀に私も、フレデリア様付きの騎士として同行していましたので」 顔だけは知っていると言われて、俺は納得した。

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