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第92話

ガサガサと音が近付いてくる。 その音を聞いて、俺もフレディも茂みに注意を向けた。 何かが近付いてくる? それが何なのかは分からない。俺はチラッとレイスたちを見ると、二人はまだ話していてこっちには気付いていない。 どうする? そう思ってフレディを見ると、フレディも警戒してるみたいだった。 フレディは王女だ、ここは俺が守らなきゃ。 そう思って俺はフレディを庇うように前に出た。 その瞬間、茂みから何かが飛び出してきて俺にぶつかった。 「うわっ!?」 俺はその衝撃に堪えきれなくて、その場に倒れ込んでしまった。 「フタバさん!?」 そうフレディが叫ぶ。その声にレイスとロイドさんも駆け寄ってきた。 「どうした!?」 「お兄様、フタバさんが!」 フレディがレイスに今の状況を知らせる。 ただ俺はそれどころじゃなかった。 な、何!?何!?これ何!? 俺は突然の事にパニックになっていた。 え、俺何かに襲われてんの!? え~!どうすれば良いの、これ!? そんな事を考えてると『キュッキュッ』と何か鳴き声みたいなのが聞こえてきた。 ……あれ?この声、何か聞き覚えが。 そう思ったら、パニクってたのが少し落ち着いてくる。 俺は上に乗っかってるものを見てみるけど、暗くて全く見えない。でもそれはずっとモゾモゾと動いてるから生き物なんだろう。 ……なんだろう。襲われてるっていうよりは、すり寄られてる? 俺はその生き物の正体を知るために光魔法で明かりをつけた。

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