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第94話
(レイスside)
俺は、ロイドと話をするために二人から少し離れていた。
「その後、様子はどうだ?」
「今のところ、変わりはありません」
「……そうか」
俺はロイドの肩に手を置く。
「何かあった場合はフレディを最優先で守ってくれ」
「分かりました」
そう言ってロイドは頭を下げた。
そんな時、フレディの叫ぶ声が聞こえてきた。俺たちは慌てて二人の元に駆け寄った。
「どうした!?」
「お兄様、フタバさんが!」
そう言うフレディの言葉でフタバを見ると、フタバは倒れ込んで、その上には何かが居る気配がした。
俺は反射的に剣に手を掛ける。剣を抜こうとした瞬間、光の玉が辺りを照らした。
フタバが魔法を使ったんだと分かる。俺は瞬時に剣を抜こうとしていた手を止めた。
光に照らされて、フタバに乗っかってたのがホーンラビットだと分かると、一気に力が抜けた。
フタバに乗っかってるホーンラビットには見覚えがあった。フタバもあの時あげたペンダントに気付いたみたいで、自分を追ってきたことに感激してるみたいだった。
そんなフタバがじっと俺を見てくる。
何となく、フタバが何を言いたいのか分かった。
……あの時も別れるのをかなり渋ってたからな。また引き離すのは難しいか。
そう思って、俺はため息をついた。
「……取り敢えず、首輪擬きもしてるし誤魔化せるか?」
「そうですね。ホーンラビットは比較的大人しい魔物ですし、この子はその中でもかなり大人しい性格だと思います」
俺の言葉にロイドが返す。
フタバはこの会話の意味が理解出来ないみたいで、不安気に見てきた。
そんなフタバにフレディがクスクスと笑う。
「フタバさん、この子に名前を付けてあげなくてはいけませんね」
フレディがそう言うと、ようやく理解したみたいでフタバの表情がパァと明るくなった。
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