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第95話
「レイス、良いの!?」
そう聞くと、レイスは少し顔をしかめる。
「本当は駄目だ。従魔でもない魔物を連れて歩くなんて許される事じゃない」
……やっぱりそうだよね。
そう思って、俺は俯いてしまう。
「でも、こいつはフタバと一緒に居たくてここまで追い掛けてきたんだ。その根性は認めてやらなきゃな」
そう言ってレイスはホーンラビットの頭を撫でながらニコッと笑う。
「……えっと…それって…?」
「連れていっても良いって事ですよ」
そうロイドさんが言う。
その言葉に俺はもう一度レイスを見ると、レイスは笑った。
「ありがとう!!」
俺は嬉しくて、思わずレイスに抱き付いてしまった。
「フタバさん、名前はどうするのですか?」
そうフレディが聞いてくる。
「……えっと…」
どうしよう。俺、生き物に名前なんて付けたことない。
そう思って、俺はじっとホーンラビットを見る。そうするとホーンラビットもじっと見返してきた。
「……ルディ……お前の名前はルディだよ」
ホーンラビットの瞳を見ていたら浮かんだ名前。
直感だけど、良いと思った。
ホーンラビットに『ルディ』と名付けた瞬間、ルディの体が光った。
ルディを包んでた光がルディの額に集まっていく。その光が収まったかと思ったら、ルディの額に何かの模様が浮かび上がった。
「……え?」
何これ?今なにが起きたんだろう。
「……ロイド、まさかこれって?」
そう言ってレイスが驚いた顔をする。
「間違いありません」
ロイドさんも少し困惑した表情をする。
え、何なんだろう?
「フタバ様、フタバ様はテイマーの資格をお持ちなのですか?」
ロイドさんにそう聞かれて、俺は首を振った。
「テイマーは先天性だってレイスに聞いた。俺にはテイマーの資格はないよ」
だから一度はルディを置いていったんだ。
そう言うと、三人が顔を見合わせた。
「良いですか、フタバ様。ホーンラビットの額に浮かび上がった紋様は従魔契約の証です。でも従魔契約はテイマーにしか結ぶ事は出来ません」
そうロイドさんが言う。
「……それって、俺にテイマーの資格があったって事?」
「……それは分かりません。しかしフタバ様は魔術師という職業を既にお持ちです。その上テイマーとなると、職業を2つ持っている事になります。それはこの世界では有り得ない事なんです」
ロイドさんの話では、職業は一人につき1つが当たり前。2つ目の職業なんて有り得ないらしい。
じゃあ、何で俺はルディと契約出来たんだろう。
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