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第97話

(レイスside) あれからフタバは余程疲れたのか、宿に着いたら早々に寝てしまった。 本当はフタバに俺が王子だということは教えるつもりは無かった。 隠し通せるとは思ってなかったけど、こんなに早くバレるとは思わなかった。 迂闊にフレディと会ったのがそもそもの間違いだった。 フタバは召喚勇者だけど、それを放棄してまで城を出ている。 俺が傍に居ればフタバを巻き込んでしまうかもしれない。 俺は眠るフタバの横に腰掛けると、そっとフタバに触れた。 フタバは危なっかしい。 危険な事にも、そうと気付かず平気で飛び込んでいく。 それでも俺が守ってやれば……そう思った。 本当はフタバの傍に居るべきではないんだろうな。 次の日の朝、俺はいつもより早く起きた。 というより、早く目覚めたフタバに叩き起こされた。 「レイス、レイス!起きて!」 そう言ってフタバはゆさゆさと揺すってくる。その横ではルディが『キュッキュッ』と鳴き声をあげている。こんな中で寝てられる訳もなく、俺は起きることにした。 「今日はギルドでルディの登録した後、ディルの所に行くんだよね?リオさんはどんな魔法を使うの?」 フタバは目を輝かせて聞いてくる。 どうやらリオに魔法を教わる事が楽しみで仕方ないらしい。 俺は急かすフタバを宥めながら準備をして、まずはギルドに向かった。

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