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第99話
俺たちはディルが用意してくれた部屋に荷物を置くと、さっそくリオさんに魔法を教えて貰うことになった。
ちなみに、ディルが用意してくれた部屋はとてつもなく広くて豪華だった。
王宮だから何となく想像はしてたけど、本当に豪華なんだと思って感動した。
「では始めます。よろしいですか?」
俺たちは中庭に出てリオさんとディルが何かしら準備をした後、リオさんがそう言ってくる。
「はい!よろしくお願いします」
そう言って俺が頭を下げると、リオさんがフッと笑った。
「フタバさんは、ご自分が使える属性はご存知ですか?」
リオさんに聞かれて俺は頷いた。
「教えて頂いても?」
そう言われて、俺はどうしようかと思った。
多分、俺が使えるのは全属性。そうじゃなくても殆どが使えると思う。
けど、多分それはこの世界では稀な事だと思う。もしかしたら全属性使える人なんて居ないかもしれない。ここはよく使うやつを答えた方が良いかも……
「えっと、俺が使えるのは『火』『風』『雷』『光』です」
そう言うと、リオさんが少し驚いた表情をした。
「……4つ、ですか?」
……あれ?もしかして多すぎた?
「……あの…リオさん?」
固まってしまったリオさんに俺が恐る恐る声を掛けると、リオさんがハッとした。
「…申し訳ありません。では一通り使って見せて頂けますか?」
そう言われて俺は頷くと、一通りの魔法をリオさんに見せた。
「………本当に使えるんですね」
リオさんが何かボソッと言ったけど、上手く聞き取れなかった。
「攻撃魔法は使えますか?」
そう言われて、俺は考えた。
「……使ったことは無いです」
色々考えてはいたけど、使う機会が無かったんだよね。
「試しに撃ってみてください」
「え、でも……」
ここ王宮だし、王宮内のもの傷付けたら不味いんじゃ?
「大丈夫ですよ。ここには対物理結界と対魔法結界、他にも遮音結界を張ってあります」
『遠慮なくどうぞ』とリオさんが言う。
結界が張ってあるなら大丈夫かなぁ。
王宮の魔術師が張った結界なら間違いないよね。
でも何を使おうかな。色々考えてはいたけど、初めての攻撃魔法だしな。
……ヤバイな、俺いま凄いテンション上がってる。
俺は初めての攻撃魔法に思わずニヤニヤしてしまう。
やっぱり初めては派手なやつがいいかな。
「……じゃあ、いきます」
そう言って、俺は空に手をかざした。
イメージは落雷。
雷魔法 【天雷】
頭の中で唱えた瞬間、ドオォンと物凄い音を発てて雷が落ちた。
その音にビリビリと空気が振動して、地面も若干揺れた。
雷が落ちた所を見ると、煙が上がって地面は半径2Mくらい焼け焦げている。
……ちょっと威力強すぎたかな?
そう思って皆を見てみると、リオさんは勿論、離れた場所にいるレイスとディルも立ち上がって唖然としていた。
………あれ?もしかして俺、やっちゃった?
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