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第104話

しばらくレイスと庭を眺めながら話していると、リオさんが俺たちを探しに来た。 「お二人ともこんな所に居たんですね………ってお二人とも何て所に座ってるんですか!?」 その後、俺たちはリオさんに怒られてしまった。 レイスにも驚かれたし、ここでは地面に直接座るのはダメらしい。 まぁ王宮だから当たり前か。 そう思ってレイスを見ると、丁度レイスも俺に視線を向けてたみたいでパチッと目が合う。 目が合うと、俺たちは二人して思わず笑ってしまった。 そんな俺たちを見て、リオさんがため息をついた。 「もう良いですよ」 そう言った後、リオさんがニコッと笑う。 「お二人とも、夕食の時間です。ディル様ももうお待ちですよ」 そう言うと、リオさんが『ご案内します』と手で方向を示した。 俺は遊んでいたルディを呼んで、皆と食堂に向かった。 リオさんの案内で食堂に着くと、また豪華な部屋が出てきた。 大きなテーブルに金の装飾が施された椅子。壁には大きな窓と高そうな絵画が飾られている。 高い天井には大きなシャンデリアがキラキラと輝いていた。 「来たか」 既に部屋に居たディルがそう言う。 『座ってくれ』とディルに促されて、俺とレイスは用意された席に座る。 椅子に座る時、執事の人が椅子を引いてくれた。 なんかこれ、もの凄く緊張するんだけど。 俺たちが席に着いた事を確認したディルが合図を送ると、メイドが沢山来て次々と料理を運んできた。 メニューはスープにサラダ、ステーキと他に大皿で何品かあった。 ……美味しそう。 そう思ったけど、食べる前に俺は重大な問題に直面していた。 「………俺、マナーとか何も出来ないよ?」 レストランとかの食事のマナーとかは何となく分かるけど、分かるだけで出来るわけじゃない。 正直、俺はどうしたら良いのか分からなくて、パニック寸前だった。 そんな俺を見て、レイスもディルもクスクスと笑った。 「マナーなんて気にしなくて良い。好きなように食べて大丈夫だ」 そう言ってディルが少し笑いながら言った。 食事の準備が終わって、ディルが『さぁ頂こう』と言って、レイスもディルも食べ始めた。 やっぱり二人とも王族だけあって、食べる仕草が凄く綺麗だ。 俺はそんな二人に見惚れた。 「フタバ?どうした、食べないのか?」 二人に見惚れていると、レイスがそう言ってくる。 俺はハッと我に返る。 「何でも無い。食べるよ」 俺は少し慌てて、手を合わせると『いただきます』と言ってスープに口をつけた。 ん!?このスープ美味しい! そう思ってふと二人を見ると、二人とも何故かポカンとしていた。 「二人ともどうしたの?」 そう言って、俺は首を傾げた。 「なんだ?さっきの『いただきます』って」 そうディルが聞いてくる。 あ、そうだった!この世界には食べる前の挨拶って無かったんだった。

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