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第106話

レイスがディルたちと話をすると言った。 俺は一人で部屋に向かった。 まぁ一人でって言っても、従者の人が一緒だから正確には一人じゃないんだけど。 部屋に着くと、従者の人がお茶を淹れてくれる。ついでにお菓子も出してくれた。 ………ご飯食べたばかりでお腹一杯なんだけど。 そう思いながらも、せっかく用意してくれたのに手を着けないのは申し訳ないと思って、俺はお茶を一口飲んだ。 「他に何かご用命はありますか」 従者の人がそう聞いてくる。 俺はそれに対して首を振った。 「大丈夫です」 そう言うと、従者の人は『そうですか』と返してくる。 「では、私はこれで失礼致します」 そう言って従者の人は部屋から出ていった。 俺は従者の人が出ていくと、ソファに倒れ込んだ。 ……疲れた。 ああやって世話されるの慣れてないから、どう接していいのか分からない。 すごい対応に困るよ。 そう思って、俺はため息をつく。 そんな事をしていると、ルディが俺の上に飛び乗ってきた。 その衝撃に一瞬『うっ』となる。 「…ルディ、痛いよ」 俺がそう言うと、ルディは『キュ?』と首を傾げる。 ………かわいい。 その後ルディがすり寄ってくる。 俺はその可愛さに負けて、しばらくそのモフモフを堪能した。 ……そうだ!時間あるし、魔力操作の練習しようかな。 ルディをモフッてると、ふと思い立つ。 俺は起き上がると、ルディを横に座らせた。 「ルディ、今から魔力操作の練習すらからちょっとそこに居てね」 そう言うと、ルディは返事をするように『キュッ』と鳴いた。 俺はルディの頭を撫でると、フーと息を吐いた 目を閉じて集中する。 体の中心を意識する。そこから魔力を生み出す。 生み出した魔力を全身に巡らせる。その後全身に巡らせた魔力を循環させる。 最初はゆっくり。徐々に循環させるスピードを上げていく。 最後にまた徐々にゆっくりに戻していく。 これはリオさんに教えてもらった魔力操作の練習方法。 これをスムーズに出来て、慣れてくれば意識しなくても出来るようになるらしい。 俺はまだ集中して意識しないと出来ない。 所詮、マンガとかの受け売りで見よう見真似でやってたから当たり前なんだけどね。 そんな事を考えながら魔力操作の練習をしていると、ルディが『キューキュー』と鳴いた。 「ルディ?どうしたの?」 そう聞くと、ルディが俺の腕を前脚でトントンと叩く。 どうやら腕時計を指してるらしい。 ルディに促されて腕時計を見ると、かなりの時間が経っていた。

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