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第108話

(レイスside) 「フタバが召喚者!?」 そう言ってディルが立ち上がって驚愕の表情を見せる。 リオも驚いた表情で固まっていた。 「どこか変わってるとは思ったけど……そうか、召喚者か」 ディルは力が抜けたようにもう一度椅子に座った。 「フタバはレオーネに敵対する意思は無いんだよな?」 「それは心配ない。フタバを見てれば分かるだろう」 そう言うと、ディルはフッと笑った。 「……そうだな」 「でもこれで納得がいきました。」 そうリオが言う。 「お二方もご存知の通り、フタバさんの魔力は膨大です。あんな膨大な魔力を持った魔術師は今まで会ったことがありません。それに無詠唱なのも納得しました」 流石はリオだな。あの一発でフタバの魔力量を見極めたみたいだ。 「魔術師であるフタバがルディをテイム出来たのも、召喚者特有の特殊能力だと俺は考えている」 俺がそう言うと、二人は納得したみたいだ。 「…それで、アルザイル国王の動きは?」 「フレデリアの話では、今のところ動きはないらしいが、何か動きがあればすぐに連絡が入るようにしてある」 「なるほどな。今は様子を見るしか無いってことか。まさに急を要さない特令だな」 そう言って、ディルはため息をついた。 「それで?レイスは今後どうするんだ?」 「今のところは何も考えていない。今まで通り、冒険者として動く。フタバもそれを望んでるからな。 ……でも、もし何かあれば俺は皇子として動く。その時は二人にも協力してほしい」 そう言うと、二人は頷いてくれた。 「では、私はフタバさんが冒険者としてやっていけるように、魔法の訓練を強化していきましょうか」 そう言って笑うリオに、俺は若干寒気を感じた。 「……ほどほどにしてやれよ?」 ディルがそう呆れ気味に言った。

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