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第111話

この先、何が起きるのかは俺にも分からない。 でもその結末は何となく分かる。回避の方法も分かってる。 でも、そのどちらもレイスにとっては、辛い結果になる。 俺は隣で眠るレイスをチラッと見た。 出来れば、レイスに辛い思いはして欲しくない。 その両方を回避するにはどうしたらいいんだろう。 一番は王様を説得することなんだけど、あの王様が人の話を聞くとは思えないしな。 考えてみるけど、何も解決策が出てこなかった。 ダメだな、何も思い付かない。 所詮、俺は知識があるだけのただの高校生だしな。 結末が分かっていても、俺に出来ることは無いのかもしれない。 でも、知っちゃったから…… 俺はもう一度レイスを見る。 レイスやフレディと出会っちゃったから。 放っておくことなんて出来ないよね。 一度ディルとリオさんに相談した方がいいのかな。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ (ディルside) 「……どう思う?」 「難しいところですね。今の段階では勇者召喚をしたという事実だけで、アルザイルがレオーネに責め入るという確証は得られていません。こちらも動く事は出来ないでしょう」 そう言うリオに、俺はため息をつく。 「……だよな」 レイスの話を否定するつもりはない。 でももしアルザイルが各国に戦争を仕掛けてくるとしたら? それも勇者の力を借りて…… 勇者の実力はフタバを見る限り強大だ。 いや、フタバが特殊なのか? それすら分からない状態だな。 「一度、フタバと話す必要があるな」 そう言うと、リオが頷いた。 「陛下には?」 リオにそう聞かれて、俺は少し考える。 「取り敢えず、フタバに話を聞いてからだな。父上の耳にも入れておいた方が良いとは思うけど、まだ色々と不確か過ぎる」 「分かりました」 そう言って、リオは頷いた。

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