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第115話

俺がそう言って謝ると、皆ポカンとしていた。 「嘘とはなんだ?」 そうディルが聞いてくる。 「……えっと俺、職業が魔術師じゃなくて賢者で、使える属性も4種って言ったけど、本当は8種なんだ」 そう言うと、皆は固まってしまった。 やっぱり、こういう反応になるよね。 ……言わない方が良かったかな? 「……レベルは?」 ディルがどこか恐る恐る聞いてくる。 「………………52」 目を逸らしてそう呟くと、ディルは大きくため息をついた。 「レイスからフタバは規格外って聞いてはいたけど、ここまでとは……」 そう言ってディルは額に手を当てる。 「レイスは知ってたのか?」 ディルは額に手を当てたまま、レイスにそう聞く。 「……いや、何種類かの属性を使えることは知ってたけど、レベルまでは」 そう言って、レイスが息を吐く。 「最初っからそんなにレベルが高かったのか?」 ディルが聞いてくる。 「最初は50だったよ。城から逃げてきた時と、国境を越えたときに魔法を使ったからレベルが上がったみたい」 「ちょっと待て!城から逃げてきたってどういうことだ!?」 俺がそう言った瞬間、レイスがそう叫んだ。 俺は急に叫んだレイスにちょっと驚いた。 その時のレイスの顔が少し怖くて、俺は怯んでしまった。 そんなレイスの肩をディルが軽く叩く。 「落ち着け。そんなに迫ったらフタバが話せないだろ」 ディルがそう言うと、レイスが息を吐いた。 「…悪い」 そう言ってレイスは椅子の背凭れに凭れ掛かった。 俺は俯いて深刻な表情をしているレイスを見て、話さない方が良かったんじゃないかと後悔した。 そう思って、俺はディルをチラッと見る。 俺の視線に気付いたディルがフッと笑った。 「大丈夫だ。続きを話してくれないか」 ディルにそう言われて俺はもう一度レイスを見るけど、レイスは俯いたまま俺を見ようとはしなかった。

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