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第120話
俺はリオさんが淹れてくれたお茶を飲む。
……美味しい。
そう思って、俺はホッと息を吐いた。
俺は前に座ってるリオさんをチラッと見た。
リオさんも自分で淹れたお茶を飲んでいる。
ディルやレイスもそうだけど、リオさんもロイヤル感半端無いなぁ。
そう思いながらリオさんを見てると、パチッと目が合う。俺は思わず目を逸らしてしまった。
そんな俺を見て、リオさんがクスクスと笑った。
「そんなに身構えなくて大丈夫ですよ。私はただ、フタバさんと話がしたかっただけなんですよ」
そう言ってリオさんは笑う。
「フタバさんは勇者という立場が嫌なんですか?」
「……嫌って訳じゃないんです。勇者にはずっと憧れてたし、もし召喚されたらってずっと考えてたし。でも、あの王様に従うのはちょっと……」
俺は召喚された時の事を思い出してため息をつく。
「アルザイル国王はどのように?」
「王様は最初にちょこっと喋っただけで、後は宰相みたいな人がずっと喋ってた」
「アルザイル国王はどの様なことを頼んできたのですか?」
「魔物が出て、物流が止まって国の民が貧困に困ってるから、その魔物を倒してくれって言ってた」
そう言うと、リオさんは少し考える素振りをする。
「……魔物ですか」
「あ、でもそれ嘘ですよ」
「……何故嘘だと?」
「王様に会った部屋の装飾が豪華過ぎたから」
そう言うと、リオさんは首を傾げる。
「それはどういう意味ですか?」
「国民が貧困で困ってるっていうのに、部屋にはかなり豪華な装飾品で溢れていた。
普通は王様がそういうのを国民に回して助けるものなんじゃないの。勇者召喚なんて高リスクな方法は、本当に打つ手が無くなった時の最終手段だよ」
「……なるほど」
そう言って、リオさんは頷いた。
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