125 / 269

第124話

「フタバ」 レイスと話していると、ディルが声を掛けてくる。 ディルは何故か神妙な面持ちをしていた。 「すまなかった」 俺がどうしたのかとディルの顔を見ていると、突然ディルがそう言って頭を下げてきた。 「え!?な、何、急に!?」 「俺の物言いで、お前に不快な思いをさせてしまった。申し訳ない」 そう言って頭を下げ続けるディルに俺はため息をついた。 「そんなに謝らなくて大丈夫だよ」 俺は頭を下げてるディルの肩を掴んで体を起こさせる。 「ディルが国を優先させるのは仕方ない事だよ。それに皇子様がそんな簡単に頭を下げちゃダメだよ」 そう言ってディルに笑いかけると、ディルもぎこちない笑顔を見せた。 「俺が国を捨てることは出来ない。でも出来る限りの協力はするつもりだ」 「うん、ありがとう」 「じゃあ話も纏まったことで、フタバさんはこちらで今後の話をしましょう」 そうリオさんが言う。 「……今後の話?」 「今後、フタバさんを指導するにあたって、フタバさんの能力を正確に把握する必要があります。ですのであちらで少しお話をお伺いしてもよろしいですか?」 「……また魔法を教えてくれるんですか?」 俺はてっきり、もう魔法は教えて貰えないかと思ってた。 「フタバさんの場合、レベルが高い分制御が出来ないと危険ですから。それに一度引き受けたことは最後まで責任を持って遂行致します」 そう言うリオさんに俺は思わずレイスを見た。 レイスと目が合うと、レイスは微笑む。 「行ってこい」 そう言ってレイスが俺の背中を押した。

ともだちにシェアしよう!